ハーブティーの表示も気をつけて 食品表示法完全施行〜栄養成分表示の義務づけ
2020年3月31日で施行猶予期間の切れた食品表示法での守らなければいけない点と、6月1日から施行される食品衛生法の改正による「指定成分を含む食品」の取り扱いについて、解説いたします。
食品表示法完全施行〜栄養成分表示の義務づけ
食品表示法は、従来の食品衛生法、健康増進法、JAS法(農林物資の規格化等に関する法律)の3つの法律で、個々に食品の表示に係る規定を設定していたものを、一元化し事業者にも消費者にも分かりやすい制度を目指して策定され、2015年(平成27年)4月1日から施行された新しい法律です。この施行猶予期間が、2020年3月31日で終了し、完全施行となりました(その後に改定されたものは、猶予期間中のものがあります)。食品表示法の施行により従来の食品表示と大きく変わったところは、加工食品の栄養成分表示の義務化と機能性表示食品制度の導入です。
今回は誌面の関係上、機能性表示食品の解説はいたしませんが、導入後5年がたち、すでに2600件以上の商品が届けられています。その中には、メディカルハーブとしても利用されるハーブを加工した製品、抽出成分を利用した製品も多くあります。これらについては、また機会があれば解説いたします。
加工食品の栄養成分表示は、食品表示法施行前は任意表示であり、栄養成分表示をしたいと考える事業者が自主的に行っていました。法律施行後は、原則すべての加工食品に義務表示とされ、その猶予期間が本年3月31日まであり、4月1日以降製造される加工食品については栄養成分表示が必要となります。
なお、食品表示法は、外食・中食には適応されません。また、量り売り・ばら売りのように包装されずに販売される商品についても適応されません。ハーブティーなども店頭による量り売りや、その場の注文によりブレンドして販売するような場合は適応になりません。すでに梱包をされているものについては、食品表示を行う必要があります(従来通り)。栄養成分表示に関しては、ハーブティーは「栄養の供給源としての寄与の程度が小さいもの」の規定に合致するので、原則栄養成分表示の省略が可能です。ただし、糖類を多く含むドライフルーツをブレンドしているような場合や、栄養成分の強調表示にあたる「ミネラル豊富」「ビタミンC補給に」などの記載をする場合は、栄養成分表示の省略はできません。
また、国内製造の加工食品については、2年後(2022年3月31日まで)は猶予がありますが、重量順位1位の原材料については、その原料原産地の記載が義務づけられます(輸入加工食品については、従来通り製品の原産国表示が必要)。
食品衛生法の指定成分の取り扱い
2018 年6月に、食品衛生法等の一部を改正する法律が公布され、その中の改正の1つ である「特定の食品による“健康被害情報の届出”の義務化」が、2020年6月1日より施行されます。これは、食品衛生上の危害の発生を防止する見地から特別の注意を必要とする成分等として、厚生労働大臣が「指定成分」として告示し、それらを含有する食品に関し、消費者から健康被害が生じたとの連絡を受けた食品事業者は、重篤な場合は情報入手後、概ね15日以内、その他の場合は概ね30日以内に、全ての健康被害症例を所轄の保健所を通じて届けることが義務となります。今回指定された成分は、表1の4成分です。ブラックコホシュなどは、ハーブティーで取り扱われているものもあり、注意が必要です。指定成分等を含む食品は、これら食品すべてにおいて、直ちに健康に影響が生じるようなものではありませんが、その使用・摂取方法等によっ ては健康に影響を生じさせる可能性が否定できません。実際、プエラリア・ミリフィカでは、若い女性の生理不順や異常出血が多く報告され、コレウス・フォルスコリー では、用量相関的に下痢の発生が高まることが報告されています。
また、食品衛生法の施行と同じくして、食品表示基準も改正され、指定成分を含む食品については、特別な食品表示のルールが定められています(表2)。なお、食品衛生法や食品表示の改正は、6月1日の施行日から猶予期間なく即日義務が発生します。ブラックコホシュをハーブティーにブレンドしているような事業者さんは、関係法令、通知をしっかり読み、対応をしてください。