ガーデニングデザイン #5 樹木を知ろう
私たちの身近なところに、大きなものから小さなものまで存在する樹木。ミモザやサクラなどの花々は春を感じさせてくれ、大きなクスノキやケヤキなどの街路樹は夏の暑い日差しから身を守ってくれます。普段何気なく目にしている樹木にスポットを当てて、私たちにもたらしてくれている大切な役割をご紹介していきます。
樹木とは?
木(木本類)と草(草本類)の違いをご存知でしょうか?木は大きくなるもの、草は小さくて背が低いもの?でもタイムは背が低いけど木の仲間です。大きさだけでは違いが分かりません。
植物は発芽した後、茎の先端(茎頂)や根の先端(根端)が細胞分裂を行い成長していきます。これを「一次肥大成長」といい、ここまでは木も草も同じです。しかし木はこの後、形成層輪ができて年々根や茎が太っていきます。これを「二次肥大成長」といい、このことが木の特徴を表しています。四季のある日本では、形成層輪の成長速度の違いにより年輪ができます。さらに二次肥大成長と同時に木部が堅くなり、大きな木を支えることができるのです。
木の構造(模式図)
師部組織の内側にある形成層が細胞分裂をして内側に木部を外側に師部をつくる。このことを二次肥大成長といい、草本類にはない木本類の特徴。
樹木を調べよう
樹木は生活する上での性質や葉の形、また葉のつき方によって分類することができます。
調べたい樹木が落葉樹なのか常緑樹なのか見てみましょう。日頃歩いていて何気なく見ている樹木。冬の間、葉っぱがなくなっている木は落葉樹です。これに対して、年中生きた成葉をもっているものは常緑樹。ただし、常緑樹も落葉しないわけではありません。特にクスノキは春に全葉落葉しますが、同時に芽が出て新しい葉に入れ替わり、常に生きた成葉をもっているので常緑樹です。
LESSON 1 葉っぱの形を見てみましょう
大きくは葉っぱが尖っているか、広がっているか。これが針葉樹と広葉樹の違いです。また針葉樹の多くは成長が太い幹がまっすぐ伸びるものが多いのですが、広葉樹は枝分かれして大きな樹冠をつくる傾向があります。
POINT
● 落葉樹と常緑樹
1年のうち寒冷期(冬季)など、一定の期間すべて落葉するものは落葉樹。1年を通じて成葉をもっているものが常緑樹。
● 針葉樹と広葉樹
葉が針状もしくは鱗状のものが、針葉樹。葉が扁平で広く網状脈を有するのが広葉樹。
広葉樹は広がっている葉が一枚で、分裂しているかしていないか
(分裂葉、不分裂葉)。手のひらのようになっている(掌状複葉)、鳥の羽のようになっている(羽状複葉)などの形で分類できます。
LESSON2 葉のつき方を見てみましょう
枝から出ている葉のつき方も見てみましょう。枝から交互に出ているか(互生)、同じところから出ているか(対生)で区別できます。ヒイラギとセイヨウヒイラギは同じヒイラギという名前がついていて葉っぱもよく似ていますが、対生と互生で全く違う種類なのです。
そして葉っぱの縁をよく見てみましょう。虫メガネで見ないと分からない場合もあります。ギザギザがあるのか(鋸歯縁)、ないのか(全縁)も大切な要素です。
まとめ
このように調べていくと樹木の特徴がよく分かります。さらに大きさや姿、幹肌、花が咲くとその区別がよりはっきりします。ぜひ、通勤通学途中の樹木を見比べてみてください。樹木の名前を知ることで、今まで関心のなかった街路樹や公園の樹木も、親しみをもって見ることができるはずです。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第48号 2019年6月