植物園めぐり 牧野富太郎博士の探求心に学ぶ 高知県立牧野植物園
高知県立牧野植物園
(高知市五台山)
牧野富太郎博士の探求心に学ぶ
日本の植物分類学の父、牧野富太郎博士の業績を称え、逝去翌年の1958年に開園した高知県立牧野植物園。6ヘクタールにおよぶ壮大な園内には博士ゆかりの植物など約3000種類の植物が「生きた標本」として植栽されています。憩いの場であると同時に、植物分類学や有用植物学の研究を活発に行う場であることも同園の特徴です。
植物学研究の拠点として
園内の研究施設では、ミャンマー、ソロモン諸島などにおける未利用資源植物の探索研究や、和漢薬用植物の栽培生産研究、希少植物の保全のための研究など、 国内外の植物研究が行われています。展示館では牧野富太郎博士の生涯と業績に加えて植物学の基礎知識を学ぶことができます。
植物学者
牧野富太郎 博士
Dr. Tomitaro Makino
(1862-1957)1862(文久2)年4月24日、現・高知県高岡郡佐川町生まれ。幼少の頃から植物に興味をもち、ほぼ独学で植物の知識を身につけた。1889(明治22)年、27歳の時に日本国内で初めて新種の植物に「ヤマトグサ」と学名をつけた。以降、94歳で亡くなるまでに新種や新品種など1500種類以上の植物を命名。40万点もの標本や多数の観察記録を残した。東大講師辞任後1940年に刊行した『牧野日本植物図鑑』は、時代を越え読み継がれている。1953年東京都名誉都民。没後、文化勲章受章。
牧野博士ゆかりの植物
牧野博士が
- 和名と学名をつけた植物=◎
- 学名をつけた植物=○
- 和名をつけた植物=⃝●
- 植物図を描いた植物=★
- 学名に博士の名がついている植物=□
◎オウゴンオニユリ
Lilium lancifolium Thunb. var. flaviflorum / Makino
[ユリ科] 花期7月
草丈は1~2mになる大型のユリ。花弁は黄色地に赤の斑点が生じる。オニユリの黄花品として1930年頃に対馬で発見された。
○オオタニワタリ
Asplenium antiquum Makino
[チャセンシダ科]
日本南部や台湾の森林に育成する着生植物。葉は茎の先端に集中して放射状に伸びる。
●ジョウロウホトトギス
Tricyrtis macrantha Maxim.
[ユリ科] 花期10月
四国や九州の山中に生育する。和名は花が上品で美しいので、上﨟(宮中の貴婦人)の美しさに例えたもの。
○キンモクセイ
Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. aurantiacus (Makino) P. S. Green
[モクセイ科]花期10月
中国南部原産で日本には江戸時代に渡来。モクセイの変種。樹高3~6mの常緑小高木樹。
○ノハナショウブ
Iris ensata Thunb. var. spontanea (Makino) Nakai ex Makino et Nemoto
[アヤメ科] 花期6月
中国や朝鮮半島、日本の水辺や湿原などに自生する。園芸種であるハナショウブの原種。花茎の高さは0.4~1m。
□ヒヨドリバナ
Eupatorium makinoi
T. Kawahara et Yahara
[キク科] 花期8月
日本各地の日当たりのよい林道脇や草原、渓流沿いなどに育成する。多年草。花茎の高さは1mほど。
その他
◎ヨコグラノキ、◎スエコザサ、◎ヤナギノギク
○ヘラノキ、○ヒロハコンロンカ、○カライトソウ、○ウスギモクセイ、○ナカガワノギク
★ヒメノボタン、★タチドコロ、★キバナノセッコク、★ムカデラン、★モクレイシ
□サキシマフヨウ、□マルバマンネングサ、□イワカンスゲ ……なども見られます。
※花期などは、お問合せください。
Information
高知県立牧野植物園
住所:高知県高知市五台山4200-6 TEL:(088)882-2601(代表)
入園料:一般720円(高校生以下無料)開園時間:9:00~17:00
休園日:年末年始(12/27~1/1)
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第44号 2018年6月