関西地区イベント報告:奈良県御所市 三光丸クスリ資料館の見学会に参加して
日程:2020年10月15日 会場:奈良県御所市三光丸クスリ資料館
晴天で秋の心地よい風に吹かれながら到着したのは、三光丸クスリ資料館。広大な敷地に純日本庭園、薬草小路の美しさは心から癒された。
浅見館長と薬剤師の森様による工場、倉庫、資料館の解説は詳しくユーモアたっぷりで時間を忘れ聞き入った。「和漢薬」の三光丸は、中医学を基礎に日本の気候風土、体質に合わせた処方で原料は中国産、日本産を中心とし、効能は胃腸薬ですが、「ストレスも緩和し体調がよい」とのお声があることから、古くから先人の知恵で活用されてきた生薬には、自然治癒力を高める作用を再確認できた。
三光丸の原材料の冷蔵倉庫は年中10°Cでひんやりとしていて、そこには白い花びらの紫の線に強い苦みがあるセンブリを、長野など契約栽培の高品質原料が退色しないよう冷蔵保存されていた。花は薄黄色、葉や茎は美しい緑色を呈していた。枝の中の繊維から甘味が採れるカンゾウの、茶色の枝は見た目より軽く感じた。
常温保存倉庫の山陰のオウバクは黄色い樹皮で、断面はさらに黄色く卵黄色、厚紙を裂いたような繊維質を呈する。ケイヒは、樹皮の内側を使用、食用より芳香性が強く、漂う香りは参加者の大勢が京土産の「おたべ」を連想した。この原料で今も700年前のまま作り、品質保持と安定供給には、良質原材料の調達、管理、異物混入を避けて自社で粉砕、検査で品質のよい原料だけ使う徹底ぶり、ガラス張り製造ラインは安全性の証、原料確保困難時の対応に3年分を保管など多方面にご尽力される理念に感銘を受けました。
資料館では、昔の薬作りの道具類や薬の包みや契約書類、後醍醐天皇から「三光丸」の名を賜ったエピソード等々伝えきれませんが私は、発見を求める研究のご苦労、かたや時代を踏まえ三光丸を作る難しさと、永い先を見据えた原料問題に取り組まれ、ご尽力はつきないと思いますが、人には必要不可欠な薬、末永く届けていただきたいと思った。