世界の有用植物を系統保存する施設
日本新薬株式会社 山科植物資料館(京都府京都市)
少しずつ寒さも和らぎ、暖かな陽気に春の兆しが感じられます。柔らかな光の中、色とりどりの花々が咲きそろう季節。縮こまった体をゆるめて、心安らぐ時間を過ごしに出かけてみませんか。
3,000種を超す世界の薬用植物を守り、育てる植物園
植物を原料とする医薬品や機能食品素材を製造・販売している製薬会社の日本新薬が運営する山科植物資料館。1934年、回虫駆除剤の原植物「ミブヨモギ」の栽培、育種を行うことを目的に山科試験農場として開設されました。1994年に現在の「山科植物資料館」に改称し、50年以上にわたり研究用に収集されてきた世界の有用植物を系統保存する施設となりました。およそ2,400坪の敷地内には、今日まで世界各地から収集した3,000種類以上の薬用植物が植栽されています。
ミブヨモギ記念館は回虫駆除剤の原植物「ミブヨモギ」にちなんで名づけられました。館内では、日本新薬の歴史や活動を紹介している他、希少な植物種などを展示しています。
3つの見本園で見られる希少な薬用・有用植物
ミブヨモギ記念館、セミナールーム、ビオトープ、大温室、シダ園、見本園が設置されている園内。見本園は、ミブヨモギ、クラムヨモギをはじめとする薬用植物を展示している『第1見本園』、健康食品やハーブ、野菜などの食用植物や、繊維、工芸などの有用植物を展示する『第2見本園』、ダマスクローズ、ミント類など香り豊かなハーブの他、抗がん剤の原料となるカンレンボク、ポドフィルム、セイヨウイチイ、ニチニチソウをまとめて展示している『第3見本園』の3つに分かれており、それぞれで希少な薬用・有用植物を見ることができます。
エリア紹介
大温室
ビンロウ、ニッケイなどの薬用植物、パパイア、バナナ、スターフルーツなどの果樹、国内最古級のキソウテンガイ、トゲオニソテツなどの絶滅危惧植物など、世界の植物を展示しています。
ビオトープ
京都の山野に自生する約50種類の植物を池の水を巡らせて植栽しています。オケラ、オグラコウホネ、タニジャコウソウ、ヒノキカサなど、7割が京都府レッドデータブック所載の植物です。
シダ園
樹木園の下に、ワラビ、ゼンマイ、コモチシダなどの日陰を好むシダ植物を1か所に集めて展示しています。春には胞子の力強い芽立ちが観察できます。
※スタッフによる不定期配信コラムサイトにて、園内の日常作業や風景を見ることができます。
https://yamashina-botanical.com/column/
Information
日本新薬株式会社 山科植物資料館
住 所 : 〒607-8182 京都府京都市山科区大宅坂ノ辻町39
T E L : 075-581-0419(平日9:00〜17:00)
休 館 日 : 毎週土曜日・日曜日・祝祭日、年末年始
開館時間 : 9:00〜17:00(見学には事前予約が必要)…
入 館 料 : 無 料
※ 一般公開していないため、見学には事前予約が必要です。
駐 車 場 : 無料駐車場あり
※詳細はホームページをご確認ください
https://yamashina-botanical.com/
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第55号 2021年3月