2021.6.30

神戸市立森林植物園~樹木医から森林を学ぶ~

ハーバルセラピスト

竹内智子

日程:2021年4月2日(金) 会場:神戸市立森林植物園

4月2日、【薬用植物園見学会】神戸市立森林植物園に参加させて頂きました。

当日は天候にも恵まれ、森林植物園を散策するにはとても気持ちのよい一日となりました。今回、ご案内頂きました本位田様は本当に植物がお好きなんだなと言うことが、ひしひしと伝わってくるくらい、とても楽しそうにお話をされる方でした。聞いているこちらも楽しくワクワクし通しの一日でした。季節的に桜の花も見ることもでき、秋の紅葉のイメージしかなかったモミジの花、カタクリの花なども見ることができました。

「枝垂れ桜はなぜ枝垂れているのか?」と言うご質問も頂きました。そのような疑問をもつことは今までありませんでした。何故?の気持ちをもつことで、知識を広めていくことができ、もっと植物たちに意識を向けていくことができるようになるのだなと改めて気付かされました。

コナラの今の現状のお話もお聞きしました。里山で人間と深く関わってきていたのが、最近では利用されることが少なくなり、大きくなり過ぎて虫に侵され病気になっている、それが全国的に広がっているとのことでした。

人間の生活様式が変わってしまったことで利用しなくなり樹々にも大きな影響を与えていく……。自分たちの生活が樹々にも少なからず影響を与えてしまうということをもっと身近に感じていかなくてはいけないなと考えさせられるお話でした。

樹々の見分け方についてもお教え頂きました。落葉樹と常緑樹、針葉樹と広葉樹、葉の形、枝から出ている葉のつき方、対生なのか互生なのか、葉の縁、鋸歯縁なのか全縁なのか。ヒイラギでもセイヨウヒイラギとヒイラギでは葉っぱのつき方や科目が違うということを現物を見ながら教えて頂きました。ヒイラギ…モクセイ科 葉っぱ 対生/セイヨウヒイラギ…モチノキ科 葉っぱ 互生など。

最近、道を歩いていても傍らに生えている樹々が気になるようになりました。葉っぱの形はどうなのかな、枝から出ている葉っぱのつき方は?などなど。まだまだ見て名前が分かる木は少ないですが1つずつ増やしていけたらと思っています。

見分け方のおすすめの本もご紹介いただいたので早速購入しました。正しい剪定の仕方や枯れて邪魔になった枝や幹を分解して土に戻すキノコの役割等も教えて頂きました。剪定された山桜が地上より高い位置から根を出していたり、湿地や水辺の近くに生えるラクウショウの呼吸根は呼吸をするために幹の周りにポコポコ根が出ている不思議な光景も見せて頂きました。とっておきの場所ということで少し、経路から外れたところも案内して頂きました。そこには根が剥き出しになっているにもかかわらず、力強く存在している樹々たちがありました。六甲山の土壌は崩れやすい性質らしく、そのような立ち方になっているようです。神秘的な力強さに圧倒され、思わず見入ってしまいました。その近くの笹の群生も幻想的な佇まいで思わず立ち止まってしまいました。

最後のお話の中で、「樹々を伐ると『かわいそう』や『もったいない』と思われることもあるかもしれませんが、昔から人と樹々は共存してきました。育てるのはもちろん大切ですが、感謝の気持ちをもって無駄なく利用させていただくことも大事です」とおっしゃっていました。

今後、この考えを常に持ちながら樹々と関わっていきたいと思いました。まずは目を向ける、意識を向けることなどできることから始めていき、樹々にとって何が最適なのか、共存していくにはどうしたらいいのかを考えていけるようになっていきたいと思いました。

このような体験をさせて頂き感謝致します。ありがとうございました。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第56号 2021年6月