菜園レッスン
“科”を見れば、ハーブの特徴が分かる!
アブラナ科
植物の“科”を学ぶ。今回は、アブラナ科について紹介します。実践の前に、しっかりと基礎知識を身につけておきましょう。
“科”を見れば、ハーブの特徴が分かる!
ハーブを科ごとに大きく分けると、その大半を占めるシソ科の他に、セリ科、アブラナ科、キク科、ユリ科、イネ科などがあります。栽培方法や利用方法はそれぞれの科ごとに共通している点が多いため、科の特性を把握しておくと大変役立ちます。
シソ科のハーブ
主要なハーブの多くがシソ科に属し、交雑して雑種が生まれやすいために、たくさんの品種が存在します。香りのもととなる精油は葉の表皮にある「腺毛」に含まれています。挿し木で殖やすことができることも特徴。
シソ科のハーブは葉を指でこすると腺毛が壊れることで、香る。
Note 秋はセリ科&アブラナ科のタネまきシーズン
秋から育てるなら、寒さに強いセリ科やアブラナ科のハーブが向いています。これらの科は春〜初夏、昆虫の活動開始時期に合わせて抽苔(花をつけた茎が伸び出すこと)・開花し、受粉・結実を経て、種子を落とします。二年草が多いのも特徴です。
シソ科のハーブは挿し木で殖やすことができますが、セリ科やアブラナ科は挿し木できません。タネから育てます。
寒さに強く、暑さが苦手なので、秋まきがおすすめ。
アブラナ科のハーブ
特徴1
イソチオシアネートという揮発性の辛味成分を含有。抗酸化作用がありますが、加熱するとイソチオシアネートは生成されないため、生で食べたほうが効率よく摂取できます。主に食用やスパイスとして用いられます。
サラダやトッピングなど、料理のアクセントに。
特徴2
イソチオシアネートは植物内ではグルコシノレートという配糖体(糖と結合した化合物)の形で存在していて、モンシロチョウはこのにおいに誘引されて卵を産みます。一方で、モンシロチョウやコナガはアブラナ科の害虫。食害を受けやすいため、夏の栽培を避けましょう。寒さに強いので秋まきがおすすめです。
モンシロチョウやコナガの幼虫に注意。
アブラナ科の代表的なハーブ
ルッコラEruca vesicaria (L.)Cav.
健胃、強壮作用があるとされる。葉にはピリッとした香ばしい味わいがあり、サラダにする他、炒めものやパスタのトッピングにも。英語で「ロケット」とも呼ばれる。
用法:お料理に
マスタード(カラシナ)Brassica juncea (L.)Czern.
葉にワサビのような風味とさわやかなほろ苦さがある。葉を利用する他、春まで育てると花が咲いてタネができ、これを加工してマスタードとして使用される。
用法:お料理に
クレソン(オランダガラシ)Nasturtium officinale R. Br.
ピリッとした辛味には抗菌作用があり、ほのかな香りは肉料理に添えるとよく合う。明治時代に日本に持ち込まれて野生化し、水辺では自生しているのが見られる。
用法:お料理に
Note ハーブの学名に秘められたラテン語の意味を知ろう
男性形、女性形、中性形 officinalis, -is, -e 意味 薬用の
男性形、女性形、中性形 fragrans, -s, -s / aromaticus, -a, -um 意味 香りのよい
男性形、女性形、中性形 odoratus, -a, -um 意味 芳香のある
男性形、女性形、中性形 graveolens, -a, -um 意味 強いにおいのする
ハーブの学名から種類を特定する以外に、特徴を知ることができます。
男性形、女性形、中性形 tinctorius, -a, -um 意味 染色用の
男性形、女性形、中性形 lactiflorus, -a, -um 意味 乳白色の花の
男性形、女性形、中性形 latifolius, -a, -um 意味 広い葉の
男性形、女性形、中性形 angustifolius, -a, -um 意味 狭い葉の
男性形、女性形、中性形 arborescens, -s, -s 意味 高木状の
男性形、女性形、中性形 frutescens, -s, -s 意味 低木状の
男性形、女性形、中性形 albus, -a, -um 意味 白い
男性形、女性形、中性形 niger, -gra, -gtum 意味 黒い
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『HERB & LIFE』 VOL.2:2013年9月