菜園レッスン : “科”を見れば、ハーブの特徴が分かる! 病害虫に強いキク科
植物の“科”を学ぶ。今回は、キク科について紹介します。実践の前に、しっかりと基礎知識を身につけておきましょう。
“科”を見れば、ハーブの特徴が分かる!
ハーブを科ごとに大きく分けると、その大半を占めるシソ科の他に、セリ科、アブラナ科、キク科、ユリ科、イネ科などがあります。栽培方法や利用方法はそれぞれの科ごとに共通している点が多いため、科の特性を把握しておくと大変役立ちます。
シソ科のハーブ
主要なハーブの多くがシソ科に属し、交雑して雑種が生まれやすいために、たくさんの品種が存在します。香りのもととなる精油は葉の表皮にある「腺毛」に含まれています。挿し木で殖やすことができることも特徴。
シソ科のハーブは葉を指でこすると腺毛が壊れることで、香る。
特徴1
葉の表皮に精油をためる「腺毛」と、植物全体に分布する精油分泌組織「油管」の両方をもち合わせています。薬効成分や防虫・抗菌成分をもつものが多いため、食用よりもティーやクラフト、観賞に用いられます。
ハーブティーにもよく用いられる。
特徴2
多年草が多く、観賞に向くシルバー系の葉のものも多くあります。病害虫に強いことも特徴です。
病害虫に強い。
ジャーマンカモミールMatricaria recutita L.
世界で最も親しまれるハーブティーで、ストレス性の胃痛改善や頭痛緩和の他、「緑の薬箱」と呼ばれるほど、効能が多い。花は、りんごに似た香りがする。
用法
ティー
湿布
入浴剤
蒸気吸入
エキナセアEchinacea purpurea(L.)Moench
北米の先住民が伝染病や毒蛇にかまれた時に使用してきたハーブ。免疫力を高める効果があるので、かぜをひきやすい人のティーにおすすめ。
ティー
料理
湿布
入浴剤
蒸気吸入
チンキ剤
フレンチタラゴンArtemisia dracunculus L.
消臭、酸化防止、殺菌効果に優れる。サラダの味つけに利用され、葉1枚で料理の味を劇的に変化させることから「魔法の竜」とも呼ばれている。
ティー
料理
湿布
入浴剤
蒸気吸入
チンキ剤
Note ハーブの学名に秘められたラテン語の意味を知ろう
男性形、女性形、中性形 officinalis, -is, -e 意味 薬用の
男性形、女性形、中性形 fragrans, -s, -s / aromaticus, -a, -um 意味 香りのよい
男性形、女性形、中性形 odoratus, -a, -um 意味 芳香のある
男性形、女性形、中性形 graveolens, -a, -um 意味 強いにおいのする
ハーブの学名から種類を特定する以外に、特徴を知ることができます。
男性形、女性形、中性形 tinctorius, -a, -um 意味 染色用の
男性形、女性形、中性形 lactiflorus, -a, -um 意味 乳白色の花の
男性形、女性形、中性形 latifolius, -a, -um 意味 広い葉の
男性形、女性形、中性形 angustifolius, -a, -um 意味 狭い葉の
男性形、女性形、中性形 arborescens, -s, -s 意味 高木状の
男性形、女性形、中性形 frutescens, -s, -s 意味 低木状の
男性形、女性形、中性形 albus, -a, -um 意味 白い
男性形、女性形、中性形 niger, -gra, -gtum 意味 黒い
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『HERB & LIFE』 VOL.2:2013年9月