2021.7.21

スパイスのある暮らしを楽しもう インド旅行編~前編~

大平美弥

スパイスの楽しさを紹介するため、雑誌やテレビなどでも活躍するスパイスコーディネーター
大平美弥さんのコラム。今回は、インド旅行編です。

インドの鉄道

夏になると辛い物、特にエスニック料理が食べたくなるという方も多いかと思います。エスニック料理といえば、スパイス。私は和食や洋食などにもスパイスを使うので、スパイス=エスニック料理というイメージはあまりないのですが、エスニック料理をきっかけにスパイスの世界に入られる方は多いようです。

スパイスの辛味や香りには、発汗作用により体温を調節する機能や、胃液の分泌を促すことにより、食欲を増進させる効果があると言われます。

トウガラシを食べると、のどや舌がヒリヒリしますよね。それは、トウガラシに含まれる成分「カプサイシン」によるもの。口だけでなく、食道や胃腸の感覚神経にも刺激を与えてくれます。この刺激が「暑さ」として脳の体温調節中枢に伝えられると、汗がジワジワと出てきます。辛い物を食べた後に体がポカポカするのは、この「産熱効果」と呼ばれる現象が影響しているんですね。

スパイスがたくさん使われている代表的なお料理といえば、カレー。

ブレンドにもよりますが、4種類から30種類くらいのスパイスが使われているので、たくさんのスパイスを一度で簡単に摂取できます。特におすすめは、ブラックペッパー。いつものカレーに少し入れるだけで、味に締まりが出ます。

「カレー」と聞くと、まずインドを連想する方も多いのではないでしょうか。私は、元々海外旅行が大好きです。ヨーロッパを中心に、寺院など様々な建築物を見て回り、その迫力に圧倒されてきました。その他、素敵なお洋服やお料理など、海外には日本ではなかなか見られないものもたくさん。

インドは私がスパイスの仕事を始める頃に行った国です。本場の味を知ったり、現地の家庭料理を習ったりしたくて、仕事として最初に選んだ場所でした。

デリーの空港に降り立った時、まず驚いたのはその「圧」。何の圧かというと、人と地熱でしょうか? そして、空港を出ると、動物の圧すら感じます(笑)。道路を当たり前のように牛や馬が歩いている風景には驚かされました。

インドは宗教上のお祭りが多く、私も空港からデリー中心地のホテルへ向かう途中でお祭りに遭遇しました。たくさんの人が道路を練り歩いていて、ホテルに着くまでにはかなりの時間を要しました。

料理教室やアーユルヴェーダの学校が始まる前に観光もしておきたくて、デリーから3時間の列車の旅に出ました。

インドの車食

デリーの駅に着いたのは朝5時。乗車したらすぐ、ポットと紅茶のセットが配膳され、一息ついているところに食事の時間がやってきます。私はベジタリアン食にしてみました。

メニューは豆のカレー、サンバル。サンバルには、ブラックのマスタードが入っており、このブラックマスタードが味にコクを出してくれます。インドではこのブラックマスタードと出会うことが多かったです。ベジタブルミックスの入ったワダもふわふわで、現地ではこんなにおいしいものかと驚きました。列車は、何もない所を走っていき、無人の駅をどんどん通り過ぎます。

タージマハルの前で

アグラの駅で止まり、まずは歴史的建造物を見て回りました。イスラム教とヒンドゥー教の様式が複雑に融合した建築なのですが、宗教建築がヨーロッパのそれと違い目新しく、楽しめました。アグラといえば、やっぱりタージマハル。この白いマッシュルームに大興奮しました。空の青さと白い建造物のコントラストは今でも忘れません。

後編へ続くhttps://www.medicalherb.or.jp/archives/194054

大平美弥 おおひらみや
1976年東京都生まれ。スパイスライフアドバイザー、スパイスビューティー協会代表、Miya Spice Salon 主宰、スパイスコーディネーターマスター。講演、テレビ、ラジオ出演、レシピ作成、スパイス&ハーブティーの監修、レストランシェフとのコラボ企画などを通して、スパイスの楽しさを紹介している。東京・二子玉川の自宅にて少人数制の教室を開催。 http://www.miya-ohira.com/

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『HERB & LIFE』 VOL.17:2017年6月