2021.9.9
SDGsへの取り組み
皆さん、こんにちは。わが国でも様々な領域でSDGsへの取り組みが行われていますが、ハーブや精油の生産国でもそうした動きが活発化しています。一例を挙げれば薬用植物の保護や公正な取引は森林保護や生物多様性の確保(目標15)、貧困の改善(目標1)、健康的な生活と福祉の推進(目標3)、格差の是正(目標10)など多岐にわたる貢献が可能です。品質のよいハーブが生産されてそれが公正な商取引を介して継続的に入手できなければハーバルセラピストは活動できないわけですから、私たちにとってSDGsは単なるお題目ではなく直接的な課題といえます。
さて、ここで皆さんにはなじみのない50年も前の話をもち出したいと思います。皆さんはサイモン&ガーファンクルの ♪パセリ、セージ、ローズマリー&タイム……という歌をご存知でしょうか? 60年代後半からいき過ぎたテクノロジーや支配層による社会の分断などに対して若者たちから沸き起こったカウンターカルチャー(対抗文化)の嵐が世界を駆け巡りました。そしてヒポクラテス以来、自然に沿った暮らしの象徴であるハーブは当時の社会に対する「異議申し立て」の記号として再生したのです。こうした背景もあり欧米では環境問題をはじめとする様々な社会運動においてハーブの愛好者や団体は積極的に役割を担っています。ちなみに米国最大のメディカルハーブ団体のABC(アメリカンボタニカルカウンシル)の代表のマーク・ブルーメンタール氏やアロマセラピーの専門家であるロバート・ティスランド氏らは、いわゆるヒッピー出身です。こうした歴史を踏まえたうえで地に足の着いた活動を継続してまいりたいと思います。
JAMHAのSDGsへの取り組み
健康
メディカルハーブによる安全・安心な健康・福祉の促進と健康的な暮らしの創出
- メディカルハーブによる治療や未病予防、健康増進、介護、看護、美容、ストレスケアなどの普及・啓発や、従事者への支援、安全性・有用性に関する正しい情報の発信
- 検定の実施、セラピストなどの資格認定、認定校・認定教室の認定
- シンポジウムや地区イベント、見学会、オンラインアカデミーなどの開催
- 機関誌やテキストなどの発行、HPの運営、SNSでの情報発信
- メディカルハーブやハーブ療法に関する調査・研究の支援・普及
- 学術研究への助成
- 学術フォーラムや機関誌、HPなどでの最新研究・情報の紹介
- メディカルハーブを活用した健康的な暮らしの普及・啓発・支援
- 機関誌やHP、SNSなどへの投稿、新しい資格の立案
環境
メディカルハーブを通した環境への負荷軽減・意識向上
- 生態系を大切にした自然とつながるハーブ栽培やハーバル
- ライフの普及・啓発と、環境に対する意識向上の推進
- シンポジウムやセミナー、オンラインアカデミー、講座などの開催
- 機関誌やHP、SNSなどへの投稿
- ハーブ&ライフ検定の実施、新しい資格の立案
- 環境に負荷をかけない持続可能なハーブの生産・加工・流通・消費の支援と推進
- サステイナブルアグリカルチャーや有機栽培、フェアトレード、国産ハーブ生産者などの支援、機関誌やHP、SNSでの紹介
- ペーパレスや脱プラスチック、リサイクルの推進と会員への啓発
- web化、エコ化の促進、会員証や送付物の見直しなど
社会
メディカルハーブによる豊かな暮らしと社会の創出
- メディカルハーブの指導者・専門家・愛好家を育成するための教育
- 認定校および認定教室の認定、カリキュラムやテキストの指定
- ハーブに関心のある、次世代を担う学生への教育・普及
- 学割の導入、高校生や専門学校生、大学生などへの普及・教育支援
- 美容・健康・介護・医療などに従事する方のキャリアアップやセルフケアの支援
- ハーブによる治療や介護、未病予防、健康増進、美容、ストレスケアなどに関する情報発信
- 女性の働く機会・活躍の機会の創出
- 資格の認定と認定校、認定教室へのサポート、ハーブに関連した仕事の創出、役員・委員のジェンダーバランスの改善
- メディカルハーブによる豊かな社会の構築
- 住みやすいまちづくりや地域振興、活性化のためのハーブの活用支援・普及、機関誌やHP、SNSでの事例紹介、全国ハーブサミットの支援
- 会員のコミュニティ形成やネットワークづくり、地域活動の推進
- ハーブを活用した商品開発や技術開発、研究、地域振興の支援
- 企業とのコラボレーション、産官学の連携
- 「健康」「環境」「社会」に貢献するハーブ関連企業の認証制度の構築
- ハーブ関連企業を協会独自の評価により認証し、産業振興を図る
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第57号 2021年9月