犬・猫のハーバルケア: 犬、猫の体を知ろう!-コンパニオンアニマルに自然療法を -
家族と同様、人と共に暮らす動物を近年ではコンパニオンアニマル(伴侶動物)と呼びます。このコンパニオンアニマルをここでは馴染み深い「ペット」の呼称で紹介します。
Herbal care for pets
ペットにハーブを、と聞いて意外に思われますか?
動物を愛する国内外のハーバリストや、ホリスティックケアに関心の高い獣医たちの間では、犬や猫に対するハーバルケアがすでに始まっています。
ハーブは、けっして人間の専有物ではありません。これまで学んできたメディカルハーブの知識を生かし、植物のもたらす恩恵を、愛しいペットと分かち合いましょう。
Enjoy the outdoors safely 大切なペットにやさしい癒やしを
犬・猫のためのハーブ療法
メディカルハーブは適切に使用することで、人間に対するのと同じように動物たちの心や体を癒やすことができます。
まず、犬や猫に特徴的な体の仕組みについて正しく理解し、ペットと一緒に楽しみながらハーブ療法を実践していきましょう。
ペットの健康管理のために知っておきたい体のこと
犬と猫は同じ哺乳類の仲間ですが、犬は雑食性、猫は肉食性という違いがあります。
犬は穀物や野菜など繊維質が多く消化に時間がかかる物を食べることもあるため、腸の長さは体長の約6倍。それに対し、肉食性の猫の腸は約4倍です。臼歯の数も、犬が26本であるのに対し、猫は14本。肉を切り裂いて食べる肉食動物は、臼歯が必要ないため発達しなかったことの現れです。
犬はもともと肉食でしたが、1万5千年ともいわれる人との共生により雑食性に変化してきました。とはいえ、まだ肉食寄りの雑食であり、人が食べる物を同じように食べられるわけではありません。例えば、ネギ類やチョコレートなど、与えるのがよくない食べ物も知られています。
犬の成長スピードは犬種によって違いますが、多くは生後4~5か月までに成犬の体重の50%くらいまで成長します。成長が止まってくるのは、小型犬や中型犬では生後8~12か月頃、大型犬や超大型犬では1歳半~2歳頃。
一方、猫の成長期は生後10~12か月くらいまでです。成長期の栄養状態はその後の健康にも影響するので、この時期は特に十分な栄養が摂れる適切な食餌を与えましょう。
健康管理においては、日頃からペットと触れ合う中で、いつもと変わった様子がないかどうか、注意深く観察することが大切です。食欲をはじめ、便や尿、歩き方、鳴き方、皮膚や被毛の状態などに気をつけ、小さな異変を見逃さないようにしましょう。
また、定期的に熱や体重を測る習慣をつけると、病気を早く発見する手がかりになることがあります。
イラスト = SANDER STUDIO
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第57号 2021年9月