2021.7.27

オレンジジュースやその成分はその抗酸化、抗炎症作用から免疫機能をサポートする

美味しくいただくオレンジジュース・・。そのオレンジジュースや含有成分が免疫機能に対してどのように作用するかをテーマとしたレビューが発表された。

免疫力が低下すると,感染症にかかりやすくなり,また,感染症による症状が重症化する場合はよくみられる。

免疫応答の1つとして重要なのは炎症反応である。炎症が過度であったりコントロールされていなかったりすると,宿主の組織に損傷を与え,病状を引き起こす可能性があり,酸化ストレスをうまく防御することは,炎症を制御するためにはとても重要である。

オレンジジュースなど柑橘系の果実ジュース(シトラスジュース)の抗酸化,抗炎症作用については以下のような報告がある。

1)シトラスジュースは,ビタミンCと葉酸を多く含んでおり,免疫のバリア機能を維持し,食細胞,ナチュラルキラー細胞,T細胞,B細胞などの多くの種類の免疫細胞の機能をサポートする役割を果たす。

2)ビタミンCは抗酸化物質であり,炎症反応を軽減する。シトラスジュースは,ヘスペリジン,ナリルチン,ナリンギンなど重要な生理活性を持つポリフェノールを含んでいる。

3)へスペレチンやその配糖体であるヘスペリジン,ナリンゲニンやその配糖体であるナリルチンとナリンギンはすべて,抗炎症作用が確認されており,ヘスペリジンの臨床試験では,炎症マーカーの減少が報告されている。

4)オレンジジュースは,高脂肪-高炭水化物の食事によって引き起こされる食後の炎症を制限することが示唆された。

5)最近のメタアナリシスでは,オレンジジュースを数週間毎日摂取すると,C反応性タンパク質などの炎症マーカーが減少する。

以上のように,シトラスジュースの含有する生物活性物質は,酸化ストレスや炎症を制御し,自然免疫応答や後天性免疫応答を適切にサポートすることが考えられる。

ヒトでの試験では,オレンジジュースが炎症を軽減することが示唆されているが,自然免疫および獲得免疫に対するその影響は,高齢者などの適切なグループで適切に検討する必要があるだろう。

〔文献〕Miles EA, Calder PC. Effects of Citrus Fruit Juices and Their Bioactive Components on Inflammation and Immunity: A Narrative Review. Front. Immunol., 24 June 2021 | https://doi.org/10.3389/fimmu.2021.712608

(7/27/2021 報告:村上志緒 学術委員)