2022.6.1
メディカルハーブに関する情報のアップデートについて
皆さん、こんにちは。今回はメディカルハーブに関する情報のアップデートについて取り上げたいと思います。例えばサフランの機能性や使用目的についてわが国ではサフランがからだを温めることから冷え症や血行不良に用いるというのがよく知られた情報です。実際に日本薬局方ではサフランの適用として「冷え症、血行不良に成人1回量0.3gに熱湯100〜150mLを加え5〜10分後にそのまま服用する。」と記載されています。
ところで健康志向の強いひとの間で話題になったマイケル・グレガー&ジーン・ストーン著,神崎朗子訳『食事のせいで、死なないために[病気別編]』(NHK出版)ではサフランの機能性の活用例として軽度から中程度のアルツハイマー病患者にサフラン入りのカプセルを16週間にわたって投与したところ、プラセボに比べて認知機能の有意な改善がみられた例をあげています。さらにサフランとプロザック(筆者註:米国などで使われている抗うつ薬)との比較試験でサフランもプロザックと同じくらいうつ病の症状を緩和する効果があった例をあげています。こうした研究が行われた背景にはサフランの新たな機能性としてBDNF(脳由来神経栄養因子)の産生を高めることが明らかになったことがあります。残念ながらわが国で流通しているスパイスの本や料理本にはこうした事実はほぼ記載されていません。
メディカルハーブの機能性については各国で様々な研究が行われ、新たな機能性が次々と明らかになっています。当協会としてもアップデートされた情報の提供に努力していきたいと思います。
JAMHAのSDGsへの取り組み
健康
メディカルハーブによる安全・安心な健康・福祉の促進と健康的な暮らしの創出
- メディカルハーブによる治療や未病予防、健康増進、介護、看護、美容、ストレスケアなどの普及・啓発や、従事者への支援、安全性・有用性に関する正しい情報の発信
- 検定の実施、セラピストなどの資格認定、認定校・認定教室の認定
- シンポジウムや地区イベント、見学会、オンラインアカデミーなどの開催
- 機関誌やテキストなどの発行、HPの運営、SNSでの情報発信
- メディカルハーブやハーブ療法に関する調査・研究の支援・普及
- 学術研究への助成
- 学術フォーラムや機関誌、HPなどでの最新研究・情報の紹介
- メディカルハーブを活用した健康的な暮らしの普及・啓発・支援
- 機関誌やHP、SNSなどへの投稿、新しい資格の立案
環境
メディカルハーブを通した環境への負荷軽減・意識向上
- 生態系を大切にした自然とつながるハーブ栽培やハーバル
- ライフの普及・啓発と、環境に対する意識向上の推進
- シンポジウムやセミナー、オンラインアカデミー、講座などの開催
- 機関誌やHP、SNSなどへの投稿
- ハーブ&ライフ検定の実施、新しい資格の立案
- 環境に負荷をかけない持続可能なハーブの生産・加工・流通・
- 消費の支援と推進
- サステイナブルアグリカルチャーや有機栽培、フェアトレード、
- 国産ハーブ生産者などの支援、機関誌やHP、SNSでの紹介
- ペーパレスや脱プラスチック、リサイクルの推進と会員への啓発
- web化、エコ化の促進、会員証や送付物の見直しなど
社会
メディカルハーブによる豊かな暮らしと社会の創出
- メディカルハーブの指導者・専門家・愛好家を育成するための教育
- 認定校および認定教室の認定、カリキュラムやテキストの指定
- ハーブに関心のある、次世代を担う学生への教育・普及
- 学割の導入、高校生や専門学校生、大学生などへの普及・教育支援
- 美容・健康・介護・医療などに従事する方のキャリアアップやセルフケアの支援
- ・ハーブによる治療や介護、未病予防、健康増進、美容、ストレスケアなどに関する情報発信
- 女性の働く機会・活躍の機会の創出
- 資格の認定と認定校・認定教室へのサポート、ハーブに関連した仕事の創出、役員・委員のジェンダーバランスの改善
- メディカルハーブによる豊かな社会の構築
- 住みやすいまちづくりや地域振興
- 活性化のためのハーブの活用支援・普及
- 機関誌やHP、SNSでの事例紹介
- 全国ハーブサミットの支援
- 会員のコミュニティ形成やネットワークづくり、地域活動の推進
- ハーブを活用した商品開発や技術開発、研究、地域振興の支援
- 企業とのコラボレーション、産官学の連携
- 「健康」「環境」「社会」に貢献するハーブ関連企業の認証制度の構築
- ハーブ関連企業を協会独自の評価により認証し、産業振興を図る
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第60号 2022年6月