2022.12.27

子どもの健康: 子どもの病気

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

子どもと大人ではかかりやすい病気が異なり、同じ病気になった場合でも、症状の出方や注意すべき点が異なります。子どもの病気の特徴を理解しましょう。

子どもは様々な病気にかかることで免疫力をつけ、強い体に成長する

病気に関する子どもの特徴の1つは、大人に比べてウイルスや細菌に対する免疫力が弱く、病気にかかりやすいことです。

赤ちゃんが胎盤を通して母親からもらった免疫力(抗体)は生後6カ月を過ぎると減少し、赤ちゃん自身の免疫が発達し始めるのは1歳を過ぎてから。6カ月~1歳半では免疫力は一生で最も低下しています。そのため幼児期が終わるくらいまでは最も病気にかかりやすい時期といえます。

成長と共に生活環境が変わることで接する菌も異なり、かかる病気も変化します。乳児期は母親や周囲の大人がもっている菌に感染しやすく、集団生活が始まる幼児期以降は子どもたちがもっているブドウ球菌や肺炎球菌などに感染しやすくなります。

子どもはこうして様々なウイルスや細菌に感染することで免疫力をつけ、病気と闘うことで強い体に成長していきます。その意味で、病気にかかることはけっしてマイナス面ばかりではありません。

子どもは病気の進行が速く、症状が急変しやすいのが特徴

子どもはいったん病気にかかると進行が速いのが特徴です。すぐに熱が出たり下痢をしたりと症状が現れやすく、病状が急変したり、重症化したりすることがあります。

時にはインフルエンザ脳症のように合併症を起こして重篤な事態を招くこともあるので、病気の経過には注意が必要です。

その一方で、成長過程にある子どもは基本的に生命エネルギーが強いため自然治癒力も強く、治るのも早い傾向があります。

1歳~小学校入学までの幼児期には、アレルギー疾患もよく見られます。子どもの場合はアトピー性皮膚炎から始まって食物アレルギー、気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎といったように年齢と共に次々と連鎖的に発症することが多く、「アレルギーマーチ」と呼ばれています。

子どものアレルギーは、成長して子ども自身に体力や免疫力がつくと症状が軽くなるケースがほとんどです。できるだけ大らかに捉え、医師に相談しながら上手につき合っていきましょう。

子どもの食物アレルギー

近年、食物アレルギーの予防や治療が変わってきています。

皮膚が乾燥していたり湿疹や傷があったりすると、そこから食物のアレルゲン(原因物質)が侵入し、アレルギー反応が起こりやすい状態になることがわかり、乳児期からのスキンケアの重要性が示されています。

また、最近では原因物資を完全に除去するのではなく、少量を継続的に摂ることで徐々に食べられるようする「経口免疫療法」をとり入れる医師も増えています。

ただし、自己流で行うとリスクを伴うので、必ず専門の医師の指導のもとに進めていくことが大事です。

離乳食を始める時は、初めて食べるものは1日1品目がよいとされていますが、小さな子どもにハーブを使用する際も同様に1種類を少量から始めるのが安心です。

ハーブティーの場合も、少量から薄めて飲ませ、様子を見るようにしましょう。

いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。当協会顧問。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第62号 2022年12月