2022.12.27

子どもの健康: とっさの時に慌てないために

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

突然やってくる子どもの病気。いち早く発見するためには、「いつもと違うかも?」という周囲の大人の気づきが大切です。子どもが発するサインを見逃さないようにしましょう。

不調のサインを見逃さないで落ち着いて適切な対処を

子どもの病気は訴えがないか、わかりにくいことが少なくありません。特に乳幼児は、不調があってもうまく言葉で表現できないことが多いものです。例えば、子どもが「ぽんぽん痛い」と言っても、腹痛とは限らないのです。本当に痛いのはどこなのか、丁寧に確認してあげるようにしましょう。

機嫌のよしあしや食欲の有無も子どもの不調を判断する際の大きなバロメーターです。体をすり寄せて甘えたり、抱っこをせがんだり、元気なくゴロゴロとしているような時も体調が悪い場合があります。普段の元気がよい時の状態をしっかり把握し、ちょっとした変化を見逃さないことが大切です。

子どもの不調のサイン

  • 顔色が悪い
  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 甘える

かかりつけ小児科医をもち、救急対応の医療機関の把握も

夜間に子どもが発熱した時などは、すぐに受診すべきかどうか迷うことがあるかもしれません。発熱の際は熱の高さだけではなく、食べる、寝る、遊ぶ、排泄するがいつもと比べてできているのか、できていないのかが重要です。

食事も遊びもトイレもいつも通りにできていれば、すぐに救急病院に行かなくてもよい場合が多く、翌日、子どもの様子を見ながら診療時間内に受診すればよいでしょう。

受診の際は、いつからどのような症状が起きたか、簡単でよいのでメモして持参すると診察の助けになります。

また、近所にかかりつけの小児科医をもつと共に、いざという時に慌てないように、休日・夜間診療を行う最寄りの医療機関を調べておくと安心です。

子どもに薬をのませる時

子どもは薬を分解・吸収したり排泄したりする能力が未熟なため、大人用の薬を減量してのませるのは厳禁です。

例えばアスピリンは解熱鎮静剤としてよく使われている薬ですが、子どもが服用すると激しい嘔吐や意識障害、けいれんなどを起こす恐れがあり、子どもへの使用は禁じられています。

薬は必ず「子ども用」と記されたものを、用法・用量をよく確認してのませるようにしましょう。

いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。当協会顧問。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第62号 2022年12月