2023.3.30

オメガ3脂肪酸は青少年の注意力向上に関連?

ドコサヘキサエン酸 (DHA) は、思春期の若者の選択的かつ持続的な注意力の向上に関連しており、アルファリノレン酸 (ALA) は衝動性の低下に関連しているようだ、というスペイン・バルセロナ国際保健研究所 (ISGLOBAL)からの研究報告。

思春期には、脳、特に注意を制御する上で重要な役割を果たしている前頭前野で重要な構造的および機能的変化が起こる。一方、オメガ3不飽和脂肪酸は、適切な脳の発達と機能に重要であることが知られている。 脳、特に前頭前野で最も豊富な脂肪酸はDHAであり、主に脂肪の多い魚を食べることによって供給される。「脳の発達におけるDHAの重要性が確立されているにもかかわらず、DHAが健康な青年の注意力に影響を与えるかどうかを評価した研究はほとんどありません」と主任研究者のジョルディ・ジュルヴェス研究員は語っている。「さらに、別のオメガ-3 である植物由来の α-リノレン酸 ( ALA ) の役割については、それほど広く研究されていません。」

研究チームは、バルセロナのさまざまな学校に通う 372 人の青少年(平均年齢13.8歳)のグループにおいて、DHA と ALA の摂取量が多いほど注意力が向上するかどうかを検討した。

参加者は、反応時間を測定するコンピューター化されたテストを受け、選択的および持続的な注意力、気を散らす刺激に直面した際の抑制能力、および衝動性が測定された。また、食習慣に関する一連の質問に答え、血液サンプルを提供して、DHA と ALA の長期的な食事摂取の客観的かつ有効な指標である赤血球レベルを測定した。

データ解析の結果、DHA のレベルが高いほど、選択的で持続的な注意力と抑制的な注意力の向上に関連していることが示されたという。対照的に、ALAは注意力とは関係がなかったが、衝動性の低下と関係がみられた。
https://link.springer.com/article/10.1007/s00787-022-02064-w

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第57号 2021年9月