2023.1.20

薬用植物園見学会in東京〜東京都薬用植物園〜

シニアハーバルセラピスト

杉本恵子

日程:2022年5月6日(金) 会場:東京都薬用植物園

五月初めに東京都薬用植物園見学会に参加しました。講師は東京生薬協会の池村国弘先生。園の特徴であるケシ畑を見学しながら講座がスタートしました。参加者に配られた先生オリジナルの「非」公式ガイドブックには情報が盛りだくさんでマニア心をくすぐられました。

今回は予備知識ゼロでの参加だったため驚きと気づきの連続でした。まずは非合法ケシの花との初めてのご対面。厳重な柵に囲まれて物々しい雰囲気の中で咲いているケシの花は、身近なヒナゲシ等と比べると大きくて何とも華やか。こんな優美な花からどんな風にアヘンは作られるのだろう?と不思議な気持ちになりました。

「花後は速やかに蒴果が成長するので、蒴果に傷を付けてあへんを搾汁する。」蒴果を縦に傷つけると黒く浮き上がり縞模様が出来るのだそうです。非公式ガイドブックの写真では、まるで小さなスイカのよう。ちょっと毒々しいアヘンの素。優美に見えていた花は魔性の花へと一気に認識が変わりました。

また、ケシ畑の何本かの花には袋がかけてあり、虫に受粉されないよう純血種を守るため人口受粉をしているのだそうです。種を守るというのも植物園の使命なのですね。

「非合法ケシを見つけたら通報を」との呼び掛けもありました。畑の隅には通報のあったケシを回収して埋め立てる場所があり、こんなにも扱いが厳重であるのだと知り、しっかり覚えてパトロールをしなくては!と勝手な使命感に駆られました。

ケシ以外の薬用植物も見応えがあり散策がしやすい環境でした。有用植物の学びは勿論ですが、毒のある植物の前には似ている植物と写真で比較されていてわかりやすくなっていました。温室ではパパイヤの花がちょうど咲いていたり、カカオの実を間近でみたりと珍しい熱帯の植物にも出会えて嬉しい時間となりました。

ユーモアを交えながら植物愛溢れる池村先生のお話のお陰でとても有意義な時間となりました。ありがとうございました。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第62号 2022年12月