薬草観察バスツアーin山梨 ~シミック八ヶ岳薬用植物園~
日程:2022年5月20日(金) 会場:シミック八ヶ岳薬用植物園
軽やかな風吹く2022年5月20日、参加者24名の皆さんと共に、高層ビルが立ち並ぶ西新宿から大型バスに乗り、1日かけての「薬草観察バスツアーin山梨 ~シミック八ヶ岳薬用植物園~」がスタートしました。
ツアーのメインは山梨県小淵沢に位置するシミック八ヶ岳薬用植物園。園内の「山の幸展示館」において、山梨県森林総合研究所森林研究部長の戸沢一宏氏から薬用植物に関する座学の時間がありました。戸沢氏は限りある時間の中で数えきれないほどのスライドを使用し、食用の薬草とその効能や調理方法とレシピを、ユーモアあふれる話しぶりでわかりやすくレクチャーしてくださり、薬草に興味津々の参加者の心を終始つかんで離さない様子でした。
特に抗酸化力の目安のひとつとなっている「抗酸化活性値(ORAC値)」については、意外と身近な食品と関係があるのにもかかわらず今まで耳にしたことがなく、感興をそそられました。スマホで撮影したORAC値一覧表は今後の生活にきっと参考になるでしょう。
座学の後は、陽光を浴びながら植物園を散策しました。薬用植物やハーブがテーマごとに適度な間隔を保って植え込まれており、ここでも時折耳に入る戸沢氏の豆知識に参加者からは感嘆の声が漏れ聞こえていました。特に興味深かったのは、沖縄の月桃やニュージーランドのマヌカ、(植物園だけあって)毒のある植物も植えられていたことです。特に婦人科系に効能があるといわれるトウキを実際に目にしたときは感動しましたし、ピンク色のトチの花がそれはそれは綺麗に咲き誇っており、見る人を虜にしておりました。植物園では、年間を通して「山の幸教室」を開催しているとのことですので、機会があれば参加してみたいと思います。
さて、メインの植物園に到着する前に、八ヶ岳南麓にある「Pasta&Pizza Garden Marjoram」さんにて、ランチを楽しみました。席に着くとほどなくして、ボリュームのある前菜盛り合わせにピザが3種類、そしてメインの肉料理、それぞれの食材に合ったハーブが添えられ、次々とテーブルに運ばれてきました。同じテーブルについた参加者の皆さんとのご縁を感じ、窓から見えるガーデンに季節の花々が揺れる風景を見ながら、グラスワインに合わせておいしくいただきました。イタリア・トスカーナ地方のシエナの家を模したといわれる店内は、まるで異国を訪れたかのようで、その空間でのランチタイムはコロナ禍を忘れるほど和やかなひとときでした。食後のガーデン見学中に、直径7cmほどの四葉のクローバーを見つけたところ、お店のご主人から「どうぞ持って行ってください」と言っていただき、持ち帰りました。押し花にしてもなお大きいままです。
この度、同バスツアーに参加し、持ち帰らせていただいたものはもう一つあります。同行した友と一緒に、仲良くなった新しい友とのご縁です。この寄稿文を書く際にも多大なるご協力をいただきました。コロナ禍で、人と人との体温を感じるふれあいの大切さを改めて知るすばらしい機会となりました。ありがとうございました。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第62号 2022年12月