2023.3.13

ラズベリーリーフ:女性にうれしい!ラズベリーリーフの効果・効能

博士(農学)

木村正典

女性の健康に役立つハーブを学ぶ:Raspberry leaf
Herbs that help with women’s health

Raspberry leaf ラズベリーリーフ

EFFECTS

産前・産後のケアや、月経にまつわる不快症状の改善などに役立つラズベリーリーフ。

やさしい香りとさっぱりとした口当たりのティーには心を落ち着かせる効果もあり、様々な側面から現代女性の健康を応援してくれます。

出産準備

子宮や骨盤周囲の筋肉を調整する働きによって出産しやすい体をつくり、子宮収縮の効率を高めて陣痛を和らげてくれるといわれます。

また、「フラガリン」という成分には子宮の収縮を促す作用や血管を収縮する作用があり、分娩中の出血を抑える効果が期待できるともいわれています。

安産のためには、妊娠後期(出産予定日の6~8週間前)から毎日1杯のティーを飲むようにするとよいでしょう。

 産後ケア

子宮収縮効果で母乳の出をよくする働きがあるとされています。

また、血液の材料となる鉄分をはじめ、ビタミンC、B群、カルシウムなど豊富な栄養素が母体の回復力を高め、産後の劇的な体の変化をサポートします。

月経のトラブル・更年期の症状の緩和

女性ホルモンのバランスを整え、子宮に働きかけるハーブなので、月経痛、月経不順、月経前症候群といった月経のトラブルを改善したり、更年期のつらい症状を緩和したりする効果が期待できます。

粘膜の炎症の改善

粘膜の炎症を鎮める働きや、組織を引き締める収れん作用、けいれんを抑える鎮痙作用などがあり、喉の痛みや口内炎、軽い下痢といった症状にも有効です。

鼻のムズムズなど花粉症の諸症状の緩和にも役立ちます。

シミ・ソバカスの予防

ラズベリーリーフに含まれる「エラグ酸」にはメラニン色素の生成に関与する酵素、チロシナーゼの活動を抑制する働きがあり、シミやソバカスの予防効果が期待できます。

ビタミンCやフラボノイドは活性酸素によるダメージから肌を守る働きをします。

TOPICS

コーヒー、紅茶、緑茶などに含まれるカフェインは胎盤を通して胎児に影響を与える可能性が示唆されており、「妊婦さんは飲み過ぎに注意」といわれています。その点、ノンカフェインのハーブティーなら安心と思われがちですが、実は妊婦さんにNGのハーブや、控えめにしたほうがよいといわれるハーブもあります。

例えばレモングラスやローズマリー、シナモン、タイム、リコリス、マテ、タイム、レッドクローバー、ターメリック、チェストツリー、セージなどは妊娠中の多量の使用は注意、ナツメグとフィーバーフューはNGとされています。

メディカルハーブは医薬品とは違い、効き目が穏やかなので決して神経質になる必要はありませんが、妊娠中に飲む場合は信頼できる情報を探して安全性について調べるか、ハーブに詳しい産婦人科医に相談して、飲んでも大丈夫かどうか確認すると安心です。

また、いくら妊婦さんによいといわれるハーブでも、摂り過ぎればおなかがゆるくなったり、子宮以外の内臓へ影響が出たりすることもあるので、ほどほどに。妊娠中は普段以上に心身が敏感な状態になっていますから、自分で体調をよく確かめながら飲むようにしましょう。

博士(農学)
木村正典 きむらまさのり
当協会理事。(株)グリーン・ワイズ。博士(農学)。ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。著書に『有機栽培もOK!プランター菜園のすべて』(NHK出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第63号 2023年4月