植物園めぐり:高知県立牧野植物園
高知県立牧野植物園(高知県高知市)
寒さも徐々にやわらいで、暖かな日差しに春の息吹が感じられます。色とりどりの花々が芽吹く季節。「日本の植物学の父」が愛した植物を探しに出かけてみませんか。
人と自然の関係を大切にした安らぎと憩いの空間
高知が生んだ「日本の植物学の父」牧野富太郎博士の業績を称え、博士逝去翌年の1958年に高知市の五台山に開園した高知県立牧野植物園。
約8haもの壮大な園地には、博士ゆかりの植物など3,000種類以上が「生きた標本」として植栽されており、四季を彩ります。
青年期の牧野博士が何度も訪れた思い出の地の1つであり、自然豊かな丘陵地の五台山。自然環境に調和させながら、様々な生態系が再現された四国唯一の植物園として古くから親しまれています。
2018年には開園60周年を迎え充実した園地と共に、植物園の役割である保全・研究・教育普及・憩いの場のすべてを備えた総合植物園として歩み続けています。
植物学者 牧野富太郎博士(1862-1957)。1862年、現・高知県高岡郡佐川町生まれ。幼少の頃から植物に興味をもち、ほぼ独学で植物の知識を身につけました。「日本の植物学の父」といわれ、多数の新種を発見・命名し、日本植物分類学の基礎を築いた一人として知られています。
写真提供 高知県立牧野植物園
牧野富太郎博士と薬用植物
牧野博士の植物研究が、本草学に源流をもつことはよく知られています。本草学とは薬用とする植物、動物、鉱物などを研究する学問のこと。
彼の自伝には、少年時代に本草学の植物図鑑を毎日ひっくり返しては採集してきた植物の名前を調べたという楽しい思い出がいきいきと描かれています。
こういった博士の思いを受け継ぎ、牧野植物園では薬用植物の研究や普及に取り組み、漢方薬や民間薬として用いられる薬草・薬木を植栽しています。
施設紹介
牧野富太郎記念館 本館
牧野博士の蔵書や遺品など、約6万点を収蔵する牧野文庫(研究調査のみ利用可)をはじめ、図書室、五台山ホール、教室や講演を行うアトリエ実習室や映像ホールなどがあります。
牧野富太郎記念館 展示館
常設展示室には牧野博士の生涯の展示と体験型展示があります。企画展示室では年に数回企画展を開催。中庭には牧野博士ゆかりの植物約250種類を植栽しています。
また、VRを駆使した4K映像のオリジナル上映作品を鑑賞できるシアターなどがあります。
南園
南園は、地形と歴史を最大限に活かし、美しい景色と調和した50周年記念庭園をはじめ、温室や土佐寒蘭センター、混々山や結網山など季節ごとに様々な草花が楽しめます。
Information
高知県立牧野植物園
住所 : 〒781-8125 高知市五台山4200-6
TEL : 088-882-2601
休園日 : メンテナンス休園:5/30、10/30、11/27、2024/1/29
開館時間 :9時~17時(最終入園16時30分)
入園料 : 一般730円 (高校生以下無料)、団体630円 (20名以上)、年間入園券2,930円(1年間有効のフリーパス)
駐車場 : あり(無料)
※詳細はホームページをご確認ください https://www.makino.or.jp/
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第63号 2023年4月