2023.3.21
コリン欠乏は認知症と全身の健康に影響する
食事中のコリン欠乏は、心臓、肝臓、その他の臓器に深刻な悪影響を与える可能性があるようだ、という米国アリゾナ州立大学からの研究報告。コリンの不足は、アルツハイマー病に関連する脳の深刻な変化にも関連しているようだ。
研究チームは、食事からコリンを除去した正常マウスと、コリンを持たないトランスジェニックマウスをもちいてコリンの影響を検討した。どちらのマウスにおいても、食事性コリン欠乏症は、プラーク形成アミロイドβたんぱく質のレベルの増加や、タウたんぱく質の疾患関連の変化を含む、アルツハイマー病多発マウスの、肝臓損傷、心臓肥大、および神経学的変化をもたらした。
さらに、研究チームは、マウスのコリン欠乏が著しい体重増加、糖尿病に関連するグルコース代謝の変化、および運動能力の欠損を引き起こすことを示した。
「米国人においては問題が二つある。ひとつめは、1998年に確立されたコリンの推奨摂取量が満たされていないこと。ふたつめは、このコリンの推奨量は、脳機能にとってはかならずしも最適ではないことを示唆する論文が多数あることだ」と研究者はコメントしている。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第63号 2023年4月