関東地区イベント報告 ハーブ王子の植物園観察会
日程:2022年11月11日(水) 会場:筑波実験植物園
秋晴れの日、筑波山の裾野を眺めながら筑波実験植物園に向かいました。園内に入ると大きなセコイアが黄色く色づいて迎えてくれました。深呼吸するとよい香りに包まれ幸せな気分になりました。
観察会の様子
植物ガイドは、心地よい声の爽やかなハーブ王子こと山下智道先生です。小さい時から植物に親しみ、音楽活動を経て、ハーブ王子に転身という異色の経歴の先生登場で、参加者一同目を輝かせました。
いよいよ植物観察スタート!歩き始めて数歩で、山下先生は植物園の札には目もくれず、道端の雑草を覗き込み、弾丸トークへ。
「フランス料理で味にアクセントをつけるハーブの<オゼイユ>」「タンポポの根<ダンディライオン>は利尿作用があり、フランスではピサンリと呼ばれる」「<アカメガシワ>は、チャイティーにしたらおいしい」。最初の15分で、進んだ距離わずか3m。怒涛の植物談義はよい意味で想像を裏切り、楽しいことが始まった!!と胸が躍りました。
ハーブ王子こと山下智道先生の植物ガイド
水生植物コーナーでは、カエデが綺麗に色付き、水面に美しい姿を映していました。カエデとモミジはどちらもムクロジ科カエデ属の広葉樹で植物分類上は同じだが、鋸歯の切れ込みの違いで見分けるとのことで、絵を描いてわかりやすく説明してくださり、たくさんの質問が飛び交いました。
ススキを見つけると、ススキの穂がお茶としておいしいという話から、植物の葉につく天然酵母菌から作られた新潟納豆や松葉サイダーの開発など、地方の新しい名産品開発の話まで話が広がりました。旅をする時にそういう視点で物産展を巡ってみようと思い、旅する楽しみが増えました。
山下先生は、植物園での観察の仕方にとどまらず、地方創生につながる植物の利用法、海外と日本での植物の違いなど、歩きながら目にする全ての植物について説明してくださいました。
先生自身が「植物の概念を覆したい」という言葉通りに、あらゆる角度から掘り下げられ、植物に対する興味の輪が広がっていくような感覚になり、とても有意義な時間となりました。
これからの山下先生のご活躍が楽しみです。
トウダイグサ科ハナキリン
センテナリアン(100歳以上の長寿)が増える時代において、健康寿命を伸ばしたいと誰もが思うことです。メディカルハーブを学ぶ者として、地域に根づいた植物を知ること、さらには植物がもつ可能性について広めていくことは重大な使命であり、人生の楽しみだと思いました。
参加者の皆様、JAMHAスタッフの皆様、ありがとうございました。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第64号 2023年6月