2023.10.14

情報通信技術を活用したヘルスケア

林真一郎

皆さん、こんにちは。今回はデジタルヘルスについて取り上げたいと思います。デジタルヘルスとは情報通信技術を活用したヘルスケアを意味します。

例えばウエアラブルデバイスを装着することで血圧や血糖値、さらには心拍数などの24時間モニタリングが可能です。こうした試みによって病気の早期発見、早期治療による医療費の削減や診断技術の向上などが期待されています。また医療分野でのAI(人工知能)の活用ではゲノム医療や画像診断、医薬品開発など幅広い領域があります。

さて、こうしたテクノロジーの進歩は著しい一方で、デジタル技術によって発見されたからだの未病レベルでの心身の不調に対するソリューションの研究は遅れていると言わざるを得ません。半健康や半病気を健康にする、あるいは健康度を高めるといった方策は栄養(食事)、運動、休養といったライフスタイルの改善が基本ですが、それに加えて期待されているのがメディカルハーブの機能性です。すでに欧米ではゲノム診断による疾病リスクのソリューションに特定の野菜や果物、ハーブの積極的な摂取が試みられています。

さらに食品の摂取によって起こる遺伝子の発現を解析するニュートリゲノミクス(栄養遺伝子学)の知見が蓄積すれば、AI診断によって「今のあなたはこうした野菜を多めに摂り、食後にはこんなハーブティーがおすすめです」といったアドバイスが期待できるようになるでしょう。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第65号 2023年9月