2024.1.30

冷え改善のためにさっそく始めたい毎日の習慣

いりたに内科クリニック院長

入谷栄一

冷えの改善には、血流をよくして体の内側から温め、自律神経を整える生活習慣を心がけることが大切です。体が温まると免疫機能や代謝機能も高まり、不調も起こりにくくなります。

食事

できるだけ常温以上のものを口にするよう心がけ、体を温める食材を積極的に摂りましょう。代表的なものには、ショウガ、ネギ、ニンニク、トウガラシ、根菜類、発酵食品、肉(特に牛肉や羊肉)、魚などがあります。

一方、夏野菜や南国のフルーツ、コーヒー、白砂糖などは体を冷やすのでほどほどに。

筋肉をつくるタンパク質は、1日50g以上を目安に、肉、魚、卵、乳製品、大豆食品、豆類など幅広い食品から
摂りましょう。

体の機能を調整するビタミン、ミネラルも大事です。特に女性は鉄分が不足しやすいので、意識して摂るように
しましょう。

入浴

シャワーだけで済ませず、湯船に浸かるようにしましょう。38〜40℃のぬるめの湯に、じんわりと汗が出てくるまで浸かると副交感神経が優位になり、血流がよくなります。

体を温めると、ダメージを受けた細胞を修復する「ヒートショックプロテイン」と呼ばれる抗ストレスタンパク質の生成が促されます。また、免疫細胞や酵素(※)の働きも活発になるので、不調の改善につながります。

※酵素:生命活動を維持するための様々な化学反応を助ける物質。37℃前後で働きがもっとも高まる。

リラックス

リラックスする時間を意識的につくりましょう。心身の緊張を解きほぐすことにより自律神経の働きが整い、血行がよくなって冷えの改善につながります。

ジャーマンカモミール、リンデン、パッションフラワーのようなリラックス効果が高いハーブティーも活用しましょう。

運動

適度な運動には血行を促進し、ストレス解消や自律神経を整える効果、基礎代謝をアップする効果もあります。家
事をしながら、テレビを見ながらの“ながら運動”でもOK。こまめに体を動かすことを心がけましょう。

ウォーキングなどの有酸素運動と、下半身を鍛えるスクワットなどの筋トレを組み合わせるとベスト。腹式呼吸やヨガ、ストレッチ、マッサージやツボ押しも有効です。

服装

体を締めつけない衣服や下着を選び、重ね着でこまめに温度調節をしましょう。

下半身冷えの人にはひざ掛け、立ち仕事の人には腹巻、足が冷たくて眠れない人にはレッグウォーマーがおすすめ
です。

首、手首、足首は、皮膚のすぐ下を太い動脈が流れているため、外気の影響を受けやすい部分です。この3首が
露出しない衣服を心がけましょう。

筋肉が多く血管もたくさん集まっているお腹、腰、太ももを重点的に温めると、全身が効率的に温まります。逆にこの部分を冷やすことは避けるようにしましょう。

体の温めポイントはここ

下半身と、3つの「首」を重点的に温めるのがポイントです。

いりたに内科クリニック院長
入谷栄一 いりたにえいいち
総合内科専門医、呼吸器専門医、アレルギー専門医。東京女子医科大学呼吸器内科非常勤講師。在宅診療や地域医療に力を入れる他、補完代替医療やハーブ、アロマに造詣が深く、全国各地で積極的に講演活動も行う。著書に『病気が消える習慣』、『キレイをつくるハーブ習慣』(経済界)など。当協会顧問。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第66号 2023年12月