介護に役立つメディカルハーブ
「 クミスクチン 」
【 学 名 】Orthosiphon stamineus
【 科 名 】シソ科
【使用部位】葉
【主要成分】カリウム、脂溶性フラボン(シネンセチン)、フィトステロール(β-シトステロール)
【 作 用 】利尿、血圧降下
【 適 応 】腎機能の低下、細菌性尿路感染症予防および再発防止
介護シーンでの使用例 ドライハーブを抽出したティーを1日2〜3回服用。利尿作用があり、水分や余分な塩分の排泄を促すと共に加齢によって衰えがちな腎臓の働きを高めてくれる。尿漏れの予防や、膀胱カテーテル使用時に気になる尿臭の軽減にも有効。
「 クランベリー 」
【 学 名 】Vaccinium macrocarpons
【 科 名 】ツツジ科
【使用部位】果実
【主要成分】植物酸(キナ酸、リンゴ酸、クエン酸など)、プロアントシアニジン、アントシアニン、果糖、ビタミンC
【 作 用 】尿の酸性化、尿路への細菌の付着抑制
【 適 応 】尿路感染症、尿臭、腎臓結石
介護シーンでの使用例 無糖のクランベリージュース1日300〜750mLを2〜3回に分けて飲用。酸味で飲みにくい場合はサプリメントを利用する。膀胱炎や尿道炎などの尿トラブルの予防・再発防止に役立つ他、ピロリ菌や口腔内の細菌に対しても抗菌作用が報告されている。
「 イチョウ 」
【 学 名 】Ginkgo biloba
【 科 名 】イチョウ科
【使用部位】葉
【主要成分】フラボノイド配糖体、テルペンラクトン(ギンコライド、ビオバリド)、バイフラボン(2重分子フラボン)、ギンコール酸
【 作 用 】血小板活性化、血液循環促進、血管保護、抗酸化
【 適 応 】認知症・耳鳴り・めまい等の脳血管神経障害、末梢循環障害による間欠性歩行、記憶力減退、冷え性
介護シーンでの使用例 イチョウ葉エキス1日120〜240㎎を2〜3回に分けて服用。血管壁を保護する作用や血流を改善する作用により脳を活性化し、軽度の認知症(脳血管型認知症およびアルツハイマー型認知症)に効果が認められている。
「 エゾウコギ 」
【 学 名 】Acanthopanax senticosusu(Eleutherococcus senticosus)
【 科 名 】ウコギ科
【使用部位】根、根茎、茎
【主要成分】リグナン類(エレウテロシドEなど)、クマリン誘導体(イソフラキシジンなど)、サポニン類(エレウテロシドAなど)、多糖類
【 作 用 】アダプトゲン(抗ストレス作用)、強壮、女性ホルモン調整
【 適 応 】免疫力・自然治癒力の低下、メンタルの不調(ストレスへの適応力の低下)
介護シーンでの使用例 ドライハーブを抽出したティーを1日2〜3回服用。心身の疲労を和らげ、運動能力を向上させ、集中力を持続させる。女性ホルモン調整作用や血管壁を健やかに保つ作用などもある。介護の疲れやストレスからくる不調に悩むケアラーにも適している。
「 ローズマリー 」
【 学 名 】Rosmarinus officinalis
【 科 名 】シソ科
【使用部位】葉
【主要成分】タンニン、フラボノイド、精油(α-ピネン、1,8-シネオール、カンファー)
【 作 用 】血行促進、脳機能賦活、抗酸化
【 適 応 】記憶力や集中力の低下、冷え性、活力低下、抑うつ、肩こり、更年期の諸症状
介護シーンでの使用例 心身の活性化や記憶力・集中力の向上に、ドライハーブを抽出したティーを1日2〜3回服用。またはフレッシュハーブを食材として使用。高齢者に多い弛緩性便秘などには、精油をマッサージや入浴に使用。
「 サフラン 」
【 学 名 】Crocus sativus
【 科 名 】アヤメ科
【使用部位】柱頭
【主要成分】水溶性黄色カロテノイド色素クロシン、苦味配糖体ピクロクロシン、精油(サフラナールなど)
【 作 用 】血行促進、鎮静、鎮痙、通経、脳機能の調整
【 適 応 】認知症の脳の機能低下、生活リズムの乱れ、認知症の周辺症状の抑うつ、メンタルの不調(軽度うつ状態)、神経痛、不眠、更年期の不定愁訴
介護シーンでの使用例 サフランのめしべ6本程度を抽出したティーを1日2〜3回服用。またはスパイスとして料理に使用。神経過敏や不安などの神経症状を和らげるとともに、軽度のうつや軽度の認知症、記憶力の低下、脳梗塞後の無気力状態などを改善する。
「 セントジョンズワート 」
【 学 名 】Hypericum perforatum
【 科 名 】オトギリソウ科
【使用部位】開花時の地上部
【主要成分】ジアンスロン類(ヒぺリシン、ソイドヒペリシンなど)、フラボノイド配糖体(ルチン、ヒぺロシドなど)、ハイパーフォリン、タンニン、精油
【 作 用 】抗うつ、消炎、鎮痛
【 適 応 】認知症の周辺症状の抑うつ、メンタルの不調(軽度うつ状態)、神経痛
介護シーンでの使用例 ドライハーブを抽出したティーを1日2〜3回服用。向精神作用があり、悲嘆、絶望、恐れなどの感情を和らげ、抑うつを改善する。
※薬剤との相互作用があるので、薬を服用中の人は医師または薬剤師に相談してから使用する。
「 ソウパルメット/ノコギリヤシ 」
【 学 名 】Serenoa repens
【 科 名 】ヤシ科
【使用部位】果実
【主要成分】フィトステロール(β-シトステロール、スティグマステロール)、遊離脂肪酸(オレイン酸、リノール酸など)、精油、フラボノイド
【 作 用 】酵素(5α-リダクターゼ)阻害、消炎、利尿
【 適 応 】軽度〜中等度の良性前立腺肥大に伴う排尿障害
介護シーンでの使用例 サプリメント(エキス剤)を1日320㎎服用(2回に分けてもよい)。男性の前立腺肥大による諸症状(夜中に何度もトイレに起きる、尿の出が悪い、残尿感がある、排尿痛など)を改善する。
「 スギナ/ホーステール 」
【 学 名 】Equisetum arvense
【 科 名 】トクサ科
【使用部位】葉
【主要成分】ミネラル(カリウム、アルミニウム、マグネシウム塩)、フラボノイド(クエルセチンなど)、アルカロイド(パルストリン)
【 作 用 】利尿、ケイ素の補給、結合組織の強化
【 適 応 】足のむくみ、尿路感染症、骨粗鬆症、関節炎
介護シーンでの使用例 ドライハーブを抽出したティーを1日2〜3回服用。穏やかな利尿作用があり、尿道炎などの泌尿器疾患による諸症状や体のむくみを改善する。運動不足による足のむくみや関節リウマチ、関節炎、骨粗鬆症の予防にも有効。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第68号 2024年6月