イチョウ:介護に役立つハーブを学ぶ
【学名】 Ginkgo biloba L.
【科名】 イチョウ科
【使用部位】 葉
【主要成分】 フラボノイド配糖体、テルペンラクトン(ギンコライド、
ビロバリド)、バイフラボン(2重分子フラボン)、ギ
ンコール酸
【作用】 血小板活性化、血液循環促進、血管保護、抗酸化
【適応】 認知症・耳鳴り・めまいなどの脳血管神経障害、末梢
循環障害による間欠性跛行、記憶力減退、冷え性
イチョウ葉のエキスは
高齢者のQOL改善に期待
イチョウは中国原産で、「雄の木」と「雌の木」があるの落葉高木です。強い生命力をもつことから、古くより長寿の象徴とされ、東洋医学ではイチョウの種子のギンナンが、鎮咳、去痰、強壮、強精などに用いられてきました。
イチョウの医学的な研究は、1960年代から主にドイツとフランスで進められました。イチョウの青葉から抽出したエキスは、認知症、記憶力の低下、脳機能障害、末梢循環障害などに対する改善効果が認められ、ドイツやフランスでは医薬品として使用されています。これらの機能を発揮させる主成分は、ギンコライドなどのテルペンラクトンと、フラボノイド配糖体と考えられています。日本ではイチョウ葉エキスはサプリメント(食品)の扱いですが、高齢者のQOLの改善に寄与する可能性に期待が高まっています。
一方、イチョウ葉にはギンコール酸などのアレルギー性成分が含まれているため、ドイツなど医薬品として用いる国では厳密な規格が定められています。イチョウ葉をサプリメントやお茶で摂取する場合は、ギンコール酸の含有量が5ppm以下のものを選び、用量を守って利用するようにしましょう。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第68号 2024年6月