2025.1.9

ベランダや室内でも楽しめるキッチンガーデンを始めよう

キッチンガーデンなら、農薬や化学肥料を使わずに育てられるため、安心・安全。
何よりも自分の手で育て、食べる喜びは、日々の暮らしに潤いを与えてくれます。
春はハーブ栽培を始めるのに最適の季節です。ぜひ気軽に取り組んでみてください。

ひと鉢のハーブがもたらす喜びこの春、小さな菜園をあなたも

 広い庭がなくても、室内やベランダでも楽しむことができるのが、キッチンガーデンの魅力。特にハーブの栽培はガーデニング初心者にもおすすめです。ハーブは品種改良が進んでいなくて野性味の強い植物が多いので、少し手間をかけるだけで手軽に育てることができます。

 何かとせわしい毎日の中で、植物と向き合う時間はリラックス効果も期待できます。たった1つの鉢植えでも、それは “小さな菜園”です。移り変わる季節を感じながら植物の循環を見ることができ、心に潤いを与えてくれます。

 そして自分で育てたハーブを収穫して使うのが、キッチンガーデンの醍醐味。身近にハーブがあれば、フレッシュなハーブをいつでも手に入れることができ、少しだけ使いたい時にも便利です。

食べたり、飲んだり、飾ったり……
収穫したハーブの活用方法は様々
 一般に、春〜秋は収穫できるハーブの多い時期。旬のハーブは香りもよく、高い薬効が期待できます。いつものサラダに加えたり、料理にトッピングしたり、ティーを入れたり……と、日常的に使っていきましょう。ひと手間かけてハーブオイル、ハーブビネガー、ハーブソルトなどにするのもおすすめです。
 たくさん収穫できたらお風呂に入れてハーブバスにしたり、アルコールに浸けてチンキを作ったりするのもよいでしょう。摘んだハーブを無造作に生けるのも素敵です。リースやスワッグ(壁飾り)は、おしゃれなだけでなく香りを楽しんだり、虫よけにもなります。
 旬の時期に収穫し、乾燥させて保存すれば、ドライハーブとして一年を通じて楽しむことが可能です。

ハーブ栽培を始める時に
知っておいてほしいこと
 初心者は特にハードルを上げ過ぎないこと。種まきから育てるのが難しい場合には、ポット苗から育てるのもお手軽です。栽培に適した時期になると園芸店や花屋に種や苗が並ぶようになるので、そのタイミングで購入すると失敗は少ないでしょう。
 まずは自分の好きなハーブ、実際に利用することをイメージして、よく使いそうなハーブを選ぶことも大切です。また、ハーブには観賞用に改良された品種もあります。観賞用品種でも食用になりますが、目的により合った品種を選んで使うとよいでしょう。学名をチェックする習慣をつけると、ハーブの学習にもなります。鉢やプランターなら地面がなくても育てられますが、地植えの方が灌水の手間も少なく、植物も大きく育って失敗は少なくなります。

育てる

日当たりと風通しのよい場所が基本です。地中海沿岸原産を中心に多くのハーブは高温多湿が苦手なので、葉の密集による蒸れに注意。また、プランターは乾きやすいので乾燥に注意。

収穫する

ハーブは植えてからすぐに収穫できるものが多くあり、葉が出ているうちは何度でも収穫が可能です。日々の状態を確認しながら、使いたい時に香りのよい枝先を収穫しましょう。

使う

料理、サラダ、ハーブティーのほか、ハーブオイル、ハーブビネガー、ハーブソルトなど使い道は様々。お風呂に入れてハーブバスを楽しんでも、リースやスワッグにして飾っても素敵です。

保存する

フレッシュハーブの保存法

バジルなどの熱帯原産のものは水に挿して室温に置きます。温帯原産のものは密閉容器で冷蔵庫の野菜室で保存するか、使いやすく切ってから冷凍保存にします。

ドライハーブの作り方

①吊るして干す
蒸れない程度の束で吊るし、風通しのよい直射日光の長く当たるところで一気に乾燥させます。

②ざるに並べて干す
ざるに重ならないように並べて風通しのよい直射日光の長く当がるところで一気に乾燥させます。

※ 花の色を残す場合は日陰(電灯も不可)で乾燥させます。
※いずれも完全に乾燥したら、密封容器に入れて保存します。保存の目安は約6カ月です。



初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第68号 2024年6月