2025.2.6

バジル:人気のキッチンハーブを学ぶ

当協会理事(株)グリーン・ワイズ 博士(農学)

木村 正典

バジル」Basil

【学名】 Ocimum basilicum L.(スイートバジル)
【科名】 シソ科 
【使用部位】茎葉、果実(種子)
【主要成分】 精油(リナロール、エストラゴール、オイゲノール)、
カロテノイド(β-カロテン)、ビタミンE

【作用】消化促進、抗酸化、抗菌、強壮、鎮静、抗うつ、
抗不安、かゆみの抑制

【適応】食欲不振、消化不良、慢性疲労、落ち込み、不眠、
更年期の諸症状

食欲を刺激する味と香りで
料理に多用されるハーブの王様

 バジルはアフリカからインド、東南アジアを中心に熱帯を原産とするシソ科のハーブ。温暖な地域では多年草として育ちますが、耐寒性が低いため日本などの温帯地域では一年草の扱いになっています。67種類あるバジルの仲間の中で、もっともポピュラーなのが、スイートバジルです。

 食欲をそそるさわやかな風味と甘い香りをもつスイートバジルは、トマトやチーズ、オリーブ油と相性がよく、パスタやピッツァ、カプレーゼなどのイタリア料理に欠かせません。

 スイートバジル以外にも、アダプトゲンとして注目され、アーユルヴェーダでも用いられるホーリーバジルも人気です。

 その名前の由来から「ハーブの王様」とも呼ばれるバジルは、β-カロテンやビタミンEなどの抗酸化物質を多く含み、栄養的にも優れています。香りのもとである精油成分は殺菌作用をもつほか、胃腸の働きをよくして消化を促進する作用、心のバランスを整えてイライラや不安を緩和する作用、疲労の回復を助ける作用などがあります。現代人に多いストレスからくる不調の改善にも役立つバジル。料理に使うだけでなく、ティーや精油などのかたちでも活用しましょう。

当協会理事(株)グリーン・ワイズ 博士(農学)
木村 正典 きむらまさのり
当協会理事。(株)グリーン・ワイズ。博士(農学)。ハーブの栽培や精油分泌組織の観察に長く携わると共に、都市での園芸の役割について研究。著書に『有機栽培もOK!プランター菜園のすべて』(NHK出版)など多数。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第67号 2024年3月