ハーブの風味をまとわせて毎日の食卓をもっと豊かに
フレッシュハーブの魅力は
みずみずしい香りと美しさ
3月になり寒さが緩んでくると、冬枯れした木々が一斉に芽吹き出します。春はハーブ栽培に最適の季節。ぜひ自宅のベランダや庭で、お好みのハーブを育ててみましょう。何といっても摘みたてのハーブは香りが強く、色もきれい。料理の香りづけや彩りに、味のアクセントにといろいろ使えてとても便利。たったひと枝加えるだけでいつもの料理が何倍もおいしくなり、食卓を豊かにしてくれます。
フレッシュハーブを存分に楽しむなら、まずおすすめしたいのが、ハーブサラダ。お好みのハーブを何種類か合わせ、手作りのハーブドレッシングをかけていただきます。ハーブは、できるだけ料理の直前に扱うのがポイント。まず水を張ったボウルなどに入れ、やさしくなで洗いして汚れやホコリを落とします。特にバジルやベビーリーフのように繊細で柔らかなハーブは、葉をつぶしたり、傷をつけたりしないよう注意しましょう。洗った後はざるやキッチンペーパーなどの上に広げ、しっかり水切りすることも大切です。
くつろぎタイムには、収穫したハーブをそのまま使ったハーブティーを。ドライハーブで入れたティーとはまた違った飲み心地で、見た目の美しさやみずみずしい香りはフレッシュハーブティーならでは。特におすすめなのは、ミントやレモングラス、ローズマリーなどのすっきりとした味わいのハーブです。1種類だけでも楽しめますが、2〜3種類をブレンドしたほうが飲みやすく、効能も多く摂れます。
01
ベビーハーブサラダ(2人分)
摘みたてのハーブを贅沢に楽しむなら
〔フレッシュハーブ〕
ベビーリーフ、ルッコラ、イタリアンパセリ、リーフレタス •••各適量
ミニトマト•••適量
1.ハーブは洗って水けを切り、手でちぎる。トマトは半分に切る。
2.❶をボウルでざっくりと混ぜ合わせ、器に盛りつける。
3.ハーブドレッシングをお好みでかけていただく。
POINT
ハーブはスペアミント、チャービル、バジル、ディル、フェンネルなどもおすすめです。チーズや生ハム、ツナ、ゆで卵、ナッツ類などを加えれば、ボリュームのある一品になります。
02
ドレッシング
温野菜や魚介のサラダにかけてもおいしい
オリーブオイル 大さじ3
白ワインビネガー 大さじ1
塩、こしょう•••各適量
〔ドライハーブ〕
バジル、パセリ、タイム、ミント•••各適量
1.ドライハーブをボウルに入れ、塩、こしょう、白ワインビネガーを加え、よく混ぜ合わせる。
2.❶にオリーブオイルを少しずつ加えながらよく混ぜる。乳化してとろりとした状態になったらハーブドレッシングのでき上がり。
POINT
ハーブは1〜2種類だけでもOKです。フレッシュハーブで作る場合は、ハーブをみじん切りにし、最後に加えてください。作り置きせず、使う直前に作るとハーブの香りがより楽しめます。
03
フレッシュハーブティー(1人分)
ミント×ローズマリーは、黄金の組み合わせ
〔用具〕ティーポット、カップ
〔フレッシュハーブ〕
スペアミント•••ひとつかみ
ローズマリー•••2枝
熱湯•••200mL
1.摘みたてのハーブをサッと洗い、水けを切る。
2.❶を手のひらに乗せ、軽くたたいてからポットに入れる。
3.熱湯を注いだらふたをして5分ほど抽出し、カップに注ぎ入れる。
POINT
ハーブを軽くたたくことで組織が壊れ、香りのもとである精油成分が引き出されます。ハーブの量はティーポットの半分くらいまでを目安に、お好みで調整してください。ミントにはイライラやストレスからくる胃腸の不調を改善したり疲労を緩和したりする作用が、ローズマリーには心身を活性化し、血行を促進したり消化機能を高めたりする作用があります。
料理の隠し味やオリジナル調味料に
ハーブをとことん使いこなそう
シンプルな料理もハーブを加えると、驚くほど味に奥行きが生まれます。ブーケガルニは何種類かのハーブを束ねたもので、ヨーロッパでは主に煮込み料理の臭み消しや風味づけに使われてきました。様々な種類のハーブを使用することで料理の味が複雑になり、味わいを深めます。肉や魚介のシチューやスープはもちろん、ラタトゥイユのような野菜料理や豆の煮込みなどに加えるのもおすすめです。
ハーブが使い切れない時や、たくさん収穫できた時は、ひと手間かけてオリジナル調味料を作ってみましょう。ハーブオイルはいつものオイルの代わりに炒め物などに利用したり、下ごしらえのマリネ液として使ったり、料理の仕上げに振りかけたりといろいろな使い方ができます。バジルペーストはパスタが定番ですが、サラダ、肉や魚、野菜のソテー、トースト、カナッペなどにも利用でき、料理の幅も広がります。
04
ブーケガルニ
いつもの煮込みをレストランの味に
〔用具〕タコ糸
〔フレッシュハーブ〕
ローズマリー、タイム、イタリアンパセリ、セロリ•••各適量
〔ドライハーブ〕
ローリエ(ベイリーフ) •••適量
1.ハーブを扱いやすい長さに切りそろえる。
2.すべてのハーブをまとめ、タコ糸で束ねる。バラバラになりそうな場合は、全体をぐるぐると巻いて結んでもよい。
POINT
ハーブは最低でも3種類以上使うのがおすすめですが、使用するハーブに決まりはありません。自分の好きなハーブを使って、ほしい香りが出るようにしましょう。上記のハーブの他に、バジルやセージ、オレガノ、チャイブ、レモングラスなどもブーケガルニに向きます。
05
ハーブオイル
料理を極上にしてくれる魔法のオイル
〔用具〕保存用のガラス瓶
〔フレッシュハーブ〕
タイム•••2枝
ローズマリー•••2枝
オリーブオイル•••200mL程度
ニンニク•••2かけ
鷹の爪•••1本
1.ハーブは洗って水けをよく拭き取っておく。ニンニクは薄皮をむく。
2.煮沸消毒して乾かした瓶にハーブ、ニンニク、鷹の爪を入れ、ハーブが完全に浸かるまでオイルを注いでふたをする。
3.日の当たらないところに置き、1週間ほど寝かせればハーブオイルのでき上がり。冷蔵庫で1カ月ほど保存が可能。
POINT
ハーブに水分が残っているとオイルが傷みやすいので、完全に水分を拭き取ってから漬けるようにしましょう。使っていくうちにオイルからハーブが出てきたら、引き上げて料理に使用してください。バジル、フェンネル、セージ、タイム、ディルなどもハーブオイルに向きます。
06
バジルペースト
幅広い料理に使えるイタリア風ペースト
〔用具〕フードプロセッサーまたはミキサー、保存用の広口瓶
〔フレッシュハーブ〕
バジルの葉•••50g
松の実•••大さじ3
ニンニク•••1かけ
塩•••小さじ1/2〜1
オリーブオイル•••75mL
1.バジルは洗ってよく水けを切る。ニンニクはざく切りにする。
2.フードプロセッサーにニンニクと松の実を入れて攪拌し、さらにバジルを加えて攪拌する。
3.全体が混ざったら、塩を加え、オリーブオイルを半量ずつ加えながら、なめらかなペースト状になるまで攪拌すれば、バジルペーストのでき上がり。煮沸消毒をした瓶に入れてふたをする。冷蔵庫で保存し、1週間くらいで使い切る。
POINT
お好みで粉チーズを大さじ2ほど加えてもよいでしょう。バジルペーストは冷凍することもでき、その場合は1カ月ほど保存が可能です。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第67号 2024年3月