2024.9.24

北海道ハマナスを楽しむ丸ごと一日ツアー

日程:2024年6月25日(火) 会場: はまなすの丘公園・海浜植物保護センター 他(石狩市)
大熊千紗都

北海道を象徴する花、ハマナス。香料生産の歴史もある自生地の石狩浜で学べることは道民としても念願の機会で、心弾ませながら「はまなすの丘公園」へ向かいました。

石狩灯台のふもとに広がるハマナス自生地

札幌市内からバスで約1時間、日本海に石狩川が注ぐ雄大な河口にハマナスが自生する海岸砂丘が広がっていました。石狩浜の植生の専門家である内藤華子さんと共に海浜植物観察へ。一見すると草原が広がっているだけの寂しげな風景が、内藤さんのガイドによって様々な動植物たちの存在が目に入るようになり、たちまち鮮やかな世界に変わります。

石狩浜を深く知る内藤さんは再生活動も続けている

ノビタキが鳴く木道を進むと強い海風に煽られ、曇り空では肌寒いほど。この地のハマナスは強風に耐えるため地を這うように広がり根を深く張って生きているそうで、その逞しさに心打たれます。

ハマナスやエゾカワラナデシコなど多様な海浜植物が咲き誇る

生物多様性に富むこの海岸環境も近年は失われつつあることから、ハマナス再生プロジェクトが行われています。拠点の海浜植物保護センターには種から育成するハマナス再生園があり、摘み採り体験をさせていただきました。今朝咲いたばかりの花を、感謝を込めて摘みました。種を使ったクラフト作りもあり、多種多様な海浜植物を楽しみながら知ることができました。

実になる中心部を残して花びらだけを1枚ずつ摘む

地元食材たっぷりのハーブブランチの後は、石狩ハマナス再生プロジェクト協議会の尾形優子さんによる蒸留体験セミナーが行われました。ハマナスの成分や用途以上に印象的だったのは、石狩浜は砂浜から海岸林に至る段階的な植生が連続して存在する全国で唯一の自然海岸であり、ハマナスがその生態系を育む要になっているというお話。風や砂を受け止めて自然の防波堤となり住居区域を災害から守っているハマナスと、保全活動を続ける方々の情熱を知り、私たちは植物の恵みを頂くだけではなく、植物が生きられる環境を守り続けることが何より大切だと実感しました。

帰宅後、お土産の蒸留水を肌につけると、華やかな香りと共にハマナスの咲く海岸風景が心に広がりました。盛り沢山の体験内容を実施くださった関係者の皆様に心から感謝申し上げます。