私たちの体内には生体リズムを刻む体内時計が存在します。1997年に哺乳動物に「時計遺伝子クロック」が発見され、体内時計は脳だけでなく体内の様々な場所に存在し機能していることが判明しました。さて体内時計と栄養との相互作用を探るのが時間栄養学です。例えば食べたものの代謝が体内時計によって影響を受けることがわかっています。つまり同じものを食べてもいつ食べるかによって太りやすいといったことがあるのです。そうなると今までは「何をどれだけ食べるか」を考えましたがこれからはそれに加えて「いつ、どう食べるか」が問われることになります。ところで時計遺伝子に影響を与えるメディカルハーブも見つかっています。ハーブティーが睡眠時間や睡眠の質に影響を与えるのは単にハーブがもたらす鎮静作用だけではなくハーブが睡眠のリズムそのものに影響を与えていたというわけです。今回のフォーラムではおふたりの時間栄養学の研究者をお招きして最新の知見を学びます。

実施概要

• 行事名：第10回学術フォーラム
• テーマ：「健康科学に寄与する時間栄養学とメディカルハーブを用いた生活リズム改善法」
• 日時：2025年2月2日(日)　13:00〜17:00
• 開催方法：オンライン（申込期間内申込者に限り1か月の録画配信あり）
• 参加費：JAMHA会員：2,200円／一般：3,300円／一般の学生の方：無料（要学生証提示）
• 定員：300名
• 申込締切：2025年1月28日（火）15:00
• 注記
  • 上記期日までにお申込みをされた皆様に、当日のウェビナーURLをお送り致します(開催3日前～前日頃配信)
  • 本フォーラム終了後にアーカイブの準備が整い次第、ご視聴案内をお送り致します。
  • JAMHA会員の方はログイン後に本商品価格が割引で表示されます。

プログラム

• 13:00〜13:10　JAMHAからの挨拶
• 13:10〜14:20　Program1．鶴留 優也（山口東京理科大学助教）
  • 「メディカルハーブを用いた生活リズム改善法の構築とその機序解明」
• 14:20〜14:30　質疑応答
• 14:30〜14:40　休憩
• 14:40〜15:50 　Program2．柴田 重信（早稲田大学名誉教授）
  • 「健康科学に寄与する時間栄養学」
• 15:50〜16:00　質疑応答
• 16:00〜17:00 　Program3．林真一郎（司会進行）
  • パネルディスカッション

講演概要

【鶴留 優也（山口東京理科大学助教）：メディカルハーブを用いた生活リズム改善法の構築とその機序解明】

24時間いつでも光が受容される時代となり、社会的な時差ぼけが問題視されている。生体リズムは時計遺伝子と呼ばれる転写因子群によって周期的に制御を受けている。夜間の光刺激は時計遺伝子の振幅異常をきたし、睡眠障害などのリズム障害を引き起こす。一方で、不眠症に対しては自律神経調整効果、睡眠導入効果を持つメディカルハーブが幅広く使用されている。これらのメディカルハーブの作用機序や、生体リズムに対する作用は不明であった。今回、不眠症に用いられるメディカルハーブが時計遺伝子の発現リズムにどのような影響を解析した。臨床的に不眠症に効果を示すメディカルハーブの中には時計遺伝子の発現に顕著に影響を及ぼすものもあれば、全く時計遺伝子の発現を動かさないものもある。本講演では、不眠症に使用するメディカルハーブ5種と時計遺伝子の発現に対する影響を提示し、生体リズム改善に対するメディカルハーブの可能性を紹介します。

【柴田 重信（早稲田大学名誉教授）：健康科学に寄与する時間栄養学】
私は体内時計と食・栄養との相互関係を明らかにする時間栄養学を創設した。時間栄養学は食や栄養が体内時計に働きかけ、時計を24時間にリセットさせる方向性と、逆に体内時計が食や栄養の効果に働きかける方向性がある。前者の例として、朝食では炭水化物—インスリン、タンパク質—IGF1が、また水溶性食物繊維（F）は短鎖脂肪酸を通して末梢時計を朝型にリセットさせる。さらにノビレチンやカテキンもリセット効果を有する可能性がある。後者の例として、朝食のFが便秘解消に役立ち、セカンドミール効果を介して昼食・夕食の血糖変化を穏やかにする。一方、夕食のFは短鎖脂肪酸でpHを酸性にし、カルシウム吸収を促進させる。また、朝食から夕食までを10-12時間にする時間制限食事がメタボ予防・改善に効果的である。昼食からの10時間摂食では、朝食欠食が大きく影響し効果は期待できない。時間栄養学の健康やウエルビーイングへの寄与を解説する。

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