下町で楽しむ「エシカル・スピリッツ」蒸溜所見学ツアー
日程:2024年10月6日(日) 会場:東京リバーサイド蒸溜所&Bar&Dining Stage
手塚 温子
秋の気配を感じる日に、人気のイベントで既に多くの方が参加されている、今回は第二弾となる下町・蔵前の「東京リバーサイド蒸留所」に主人と参加させて頂きました。
元印刷工場を蒸留施設に改装した、古いビルになります。しかし建物に入ると、ハーブのいい香りが漂いました。階段を上がるほどに、香りが強くなり、屋上には多種多様なハーブを育てるハーブ園がありました。それほど大きくないフエルト鉢が直に置かれ、9個で1つの木箱に納められていました。土は富士山の近くの農家さんの土で、夏はハーブの葉が焼けないように幕をはり、木酢液を散布し、一画にはコンポストもありました。ミントだけで8種類も植えてあり「ハーブは触って香りをかいでください」とのことで、触りました。都会のハーブとは思えないほどの力強い香りが、とても印象に残りました。ここのハーブは2階の「Bar&Dining Stage」にて使われています。
1階の蒸留所では、銅製の蒸留器が置かれ、外の道から窓越しに蒸留している姿が見えます。スタッフの方から、ここに蒸類器が置かれることになった経緯やここでの蒸留の仕方などの説明を聞き、『GIN』と言うお酒が手軽に作れる一方で、何千通りもの作り方がある、正解のない奥深い作業であることを知り、未知の味と香りの探求心に心を打たれました。
楽しみにしていたペアリングのメインのジンは「LAST」でした。捨てられるはずだった酒粕の香りを蒸留で引き出した、この蒸留所の理念を背負った看板商品です。注がれたジンの上には、屋上のハーブが添えられていました。グラスに近づくとフレッシュハーブとジンのボディーの香りが鼻を刺激しました。口に含むと、多種多様なハーブの味と香りが、飲み込むと最後に、ほのかに酒粕の香りが鼻にぬけました。この多層構造の香りが、ジンを「飲む香水」と呼ぶ由来だと実感しました。このジンに合うお料理が、イタリア料理出身のシェフにより提供されます。それは、季節を考慮して、モミ・ラベンダー・ミント・日本では馴染みが薄いサルサヴェルデワカタイ(ペルー)・ジャンブー(ブラジル)のハーブを使った、ここでしか味わうことのできない、美味しいお料理でした。
世界的にジンブームで主原料のジュニパーベリーが不足している中、日本の農家さんが栽培を試み始めているとのこと。「いつか国産のジュニパーベリーでジンを作りたいです」「日本では馴染みは薄くても、海外のその土地では親しみが深いハーブ(野菜)をどんどん自分の料理には取り入れたい」と、意欲的なスタッフの姿勢が、とても頼もしく思いました。猛暑で疲れた身体には薬酒のジンは最高だと感じた時間でした。
また、ここは蒸留所なので、ノンアルコールの香り深い蒸留水もあります。飲みたいけれど不安な方は、ジンの濃さもリクエストに応えてもらえます。お酒が苦手な方でもハーブが好きな会員さんが参加しやすい企画です。JAMHAスタッフの皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました。