リンデンの効果・効能
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就寝前のリラックスティーとしても知られるリンデン。甘い香りが心と体を穏やかに癒してくれます。
かぜの初期症状を緩和したり、体を温めたりする作用もあるため
寒い季節にとりわけ頼りになるハーブです。
01.|鎮静
ファルネソールなどの精油成分が高ぶった神経を鎮め、不安な気持ちを落ち着かせます。心拍の乱れも鎮静し、動悸を鎮めて呼吸を楽にしてくれます。心身の緊張をやわらげるので、ストレスによる頭痛にも有効です。
02.|発汗・解熱
血管を拡張し、発汗を促進して熱を下げる作用があるため、熱を伴うかぜやインフルエンザに用いると回復を助けてくれます。血流をよくして体を内側から温めてくれるので、冷えに悩む人にも向きます。
03.|血圧調整
花に含まれるビオフラボノイドという成分に血圧を下げる働きがあり、高血圧や高めの血圧によって起こる動脈硬化、心筋梗塞などの予防に役立ちます。特にストレスやイライラを伴う高血圧に有効とされます。
04.|免疫向上
リンデンの特徴的な成分の1つでもあるアラビノガラクタンという多糖類は、免疫機能を高める作用をもち、かぜや慢性疾患の回復に役立ちます。また、腸内の善玉菌を増やし、便通をよくする効果もあります。
05.|保湿・美肌
保湿作用と穏やかな収れん(引き締め)作用があり、化粧水などで用いれば、肌に張りと潤いを与えてくれます。リラックス作用もあるため、リンデンのバスハーブは、ヨーロッパでは赤ちゃんの産湯にも使われます。
TOPICS |ヨーロッパで親しまれるリンデン
北端と南端を除くヨーロッパに広く分布するリンデンは、ヨーロッパの人々にもっとも親しまれてきた木の1つ。シューベルトの歌曲『菩提樹(リンデンバウム)』でも有名です。木や葉や花、蕾などが全て役立つので、「千の用途をもつ木」といわれ、中世ヨーロッパでは自由の象徴とされました。
リンデンの名は、ドイツ語で「シナノキ」を意味する Lindenbaumから来ています。その強い樹性と葉や花の美しさから、特にドイツや中欧で街路樹や公園、広場の木として好んで用いられてきました。よく知られたところでは、ドイツ・ベルリン市街のメインストリート、ウンター・デン・リンデンの並木が挙げられます。ドイツ東部のライプツィヒの名は、スラブの言葉でリンデンを意味するリブツィから来ていますが、ヨーロッパにはこの他にもリンデンに由来する名前をもつ町が多数存在するといわれます。また、リンデンはチェコ共和国の国花でもあります。
ちなみにリンデン3種の和名は「フユボダイジュ」、「ナツボダイジュ」、「セイヨウシナノキ」といいます。リンデンを「菩提樹」と訳したために混同されがちですが、ボダイジュは同科の別種であり、釈迦がその下で悟りを開いたといわれているインドボダイジュは別の科の植物です。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第70号 2024年12月