2025.3.4

かぜの予防と症状の緩和にハーブを使ったセルフケア

かぜの予感がしたら無理は禁物
温かいティーを摂って早めに休んで

 かぜの予感がしたら、無理せずしっかり休み、ハーブの力を借りてケアしましょう。

 例えばエルダーフラワーやジャーマンカモミール、リンデン、エキナセア、レモンバーム、ペパーミントなどには、かぜの初期症状を緩和する成分が含まれています。リラックス効果もあるので、就寝前に温かいティーを摂れば眠りも深くなり、結果的に免疫の働きが活発になって早期回復につながります。かぜのひき始めには1日に4〜5杯、予防したい時は1日に3杯くらい飲むとよいでしょう。

 抗炎症作用や抗菌・抗ウイルス作用のあるハーブを、のど飴やうがい薬に使うのもおすすめです。チンキはうがい薬やマウスウォッシュとして使用する他、お茶やお湯に数滴混ぜて飲むなど内服も可能です。

01
リンデンと金柑のど飴
リンデンにジンジャーをプラス
レシピ提供:今井憲香(当協会理事・名古屋メディカルハーブスクール代表)
〔用具〕ティーポット、茶こし、小鍋、マドラー、バッド、クッキングシート、包装紙
熱湯 ••• 100mL
グラニュー糖 ••• 55g
水飴 ••• 25g
金柑 3個
〔ドライハーブ〕
リンデン ••• 5g
ジンジャー(ショウガ) ••• 5g
1.金柑をスプーンの背などを使って潰し、果汁や種ごとポットに入れる。
2.❶のポットにハーブを加え、熱湯を注いだらふたをして10分ほど抽出する。
3.小鍋にグラニュー糖、水飴を入れ、❷のティーをこして加え、マドラーでよくかき混ぜて溶かす。
4.鍋を火にかけて沸騰させ(かき混ぜない)、色が変わり出して香りが出てきたらすぐに火を止める。
5.バットに敷いたクッキングシートの上に❹を流す。冷めてきたら、手でこねて、自分の好きな大きさに丸めていく。
6.丸めた飴を包装紙で包んで、でき上がり。

POINT
ジンジャーは優れた抗菌、発汗、血行促進作用をもち、吐き気や食欲不振にも効きます。ドライハーブがなければ、生のショウガをスライスしたものでもOKです。

02
金柑飴
ビタミンCがたっぷり。のどのケアに
〔用具〕小鍋、竹串、クッキングシート
白砂糖 ••• 大さじ2
水 ••• 大さじ2
金柑 ••• 3個
〔精油〕青森ヒバ、またはユーカリ•••1滴
1.金柑は水洗いをし、水気をよく拭き取る。竹串に刺しておく。
2.鍋に白砂糖と水を入れ、煮立たせる。泡立ってきたら鍋を左右に揺らし、焦げつかないようにする。
3.砂糖がきつね色になってきたら火を止め、竹串を回しながら金柑に飴をからめる。
4.クッキングシートに置き、飴が固まるまで冷ます。
POINT
金柑には免疫力アップに役立つビタミンCが豊富。皮に含まれる精油には、抗菌作用や血行促進作用、リラックス作用などがあります。

03
エルダーフラワーのコーディアル

ハーブの力を存分に摂れる万能シロップ
〔用具〕ふたつきの鍋、ざるまたは茶こし、保存瓶
レモン(ノンワックスのもの) ••• 1/2個
砂糖 ••• 200g
水 ••• 150mL
〔ドライハーブ〕
エルダーフラワー ••• 20g
1.レモンの皮を削り、果汁を絞っておく。
2.鍋に水を入れて沸騰させ、火を止めてからドライハーブ、砂糖、❶の皮と果汁を入れてかき混ぜる。
3.ふたをして、涼しい場所に24時間置く。
4.ざるや茶こしを使ってこし、煮沸消毒した保存瓶に移せばでき上がり。冷蔵庫で保存し、1週間程度で使い切る。
POINT
コーディアルは、ハーブからエキスを抽出したシロップです。水やお湯、炭酸水などで6〜10倍くらいに希釈して飲んだり、ティーや白ワインに加えたり、ヨーグルトやパンケーキにかけたりと、いろいろな使い方ができます。

04
エキナセアブレンドティー
かぜのひき始めや予防に
〔用具〕ティーポット、カップ
〔ドライハーブ〕
エキナセア ••• 2g
リンデン ••• 1g
1.ポットにハーブを入れて熱湯を注いだら、ふたをして5分ほど抽出する。
2.カップに注ぎ入れる。
POINT
エキナセアは体の免疫力を高める働きに優れ、かぜのひき始めや予防に頼りになるハーブです。リンデンやペパーミントの代わりに、エルダーフラワーやジンジャーを使ってもよいでしょう。

05
チンキうがい薬
のどの違和感や痛みがある時に
〔用具〕広口のガラス瓶、茶こし、遮光性の保存瓶
〔ドライハーブ〕
ペパーミント、タイム、セージ ••• 合わせて10g
40度のウォッカ(または35度のホワイトリカー) ••• 80mL
1.煮沸消毒してよく乾かした瓶にドライハーブを入れ、ウォッカを注ぐ。この時、ハーブがウォッカに完全に漬かるようにする。
2.ふたをして冷暗所に置き、1日1回瓶を振って混ぜる。
3.3週間ほど漬けたら、ハーブチンキのでき上がり。茶こしでこして保存瓶に移す。
4.コップ1杯の水かぬるま湯に1〜3滴ほど加えてうがいをする。
POINT
タイムとセージがのどの炎症を鎮め、ペパーミントが口内の殺菌や口臭予防、鼻づまりの緩和に効果を発揮します。でき上がったチンキは冷暗所に保管し、1年をめどに使い切りましょう。

ハーブとはちみつの
ダブル効果でかぜ対策

免疫力アップにもよいはちみつに
ハーブの効果をプラスする

  はちみつは世界各地で古くから医薬品として用いられ、漢方でも生薬の1つとされています。免疫力アップに欠かせない各種のビタミン、ミネラル、ポリフェノール、フラボノイドなどがバランスよく含まれ、抗菌・抗炎症作用をもつので、かぜの予防や日頃の体調管理に役立ちます。体を潤す作用にも優れ、咳、痰、皮膚の乾燥、口内炎などにも有効です。ただし、こうした効果は、加熱や精製などの処理をすると失われてしまいます。はちみつを購入する際は、「純粋はちみつ」で「非加熱」のものを選ぶようにしましょう。

 はちみつは保存性が高く、いろいろな食材を漬け込んで使えるのもメリットです。ハーブハニーは、はちみつにハーブの有効成分を浸出させたもの。ティーと同様に、ハーブの水溶性成分を摂ることができます。
 ショウガ、ローズマリー、ローズヒップなどを漬け込んだハーブハニーは、かぜ予防にはもちろん、のどが痛い時や疲れ気味で体力が落ちている時にも向き、寒い季節にぴったりです。

06
ハーブハニー1 ショウガ×ローズマリー
ホットドリンクに加えて、体も心もポカポカに
〔用具〕保存瓶
〔ドライハーブ〕
ジンジャー ••• 10g
ローズマリー ••• 5g
はちみつ ••• 100g
1.煮沸消毒した瓶に、ジンジャーとローズマリーを入れ、はちみつを加える。
2.冷暗所に置いて1日1回瓶を振って混ぜる。1週間ほどでハーブハニーのでき上がり。
POINT
ジンジャーは血行を促進して体を温め、発汗を促します。ローズマリーには心や体を活気づける賦活作用があり、かぜで弱った身体を元気にしてくれます。ローズマリーもジンジャーもドライがなければ生でもOKです。そのままなめたり、お湯で割ったり、ティーに甘みとして加えたり、いろいろな使い方で楽しみましょう。

07
ハーブハニー2 ローズヒップ
豊富なビタミンCが免疫力アップをサポート
〔用具〕保存瓶
はちみつ ••• 100g
〔ドライハーブ〕
ローズヒップ ••• 20g
1.煮沸消毒した瓶に、ローズヒップを入れ、はちみつを加える。
2.冷暗所に置いて1日1回瓶を振って混ぜる。1週間ほどでハーブハニーのでき上がり。
POINT
ローズヒップは“ビタミンCの爆弾”といわれるほどビタミンが豊富。免疫力を高める効果や疲労を回復する効果が期待できます。漬け込んだローズヒップは、そのままジャムのように食べるとよいでしょう。すぐに使い切らない場合は、茶こしなどでローズヒップを取り出しておくと、はちみつは1カ月程度は保存可能です。
ATTENTION!
はちみつを使用しているので、1歳未満の子どもには与えないでください。


初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第70号 2024年12月