2025.3.31

セントジョンズワートのフェキソフェナジンの薬物動態への影響

学術委員

辻恵子

セントジョンズワートは、多くの医薬品との相互作用の研究報告があり、その多くは薬物代謝酵素であるCYP1A2やCYP3A4、薬物排出輸送担体であるP糖タンパク質を増加させ、医薬品の作用を減弱させる作用がある。今回紹介する論文は、抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジンとの相互作用を検討した研究報告である。

この目的は、フェキソフェナジンを使用して、セントジョンズワートの生体内 P 糖タンパク質活性に対する影響を調査することだった。

次に方法として、セントジョンズワートの投与前、セントジョンズワートの単回投与 (900 mg)、およびセントジョンズワートによる 2 週間の治療後 (300 mg、1 日 3 回) に、フェキソフェナジン 60 mg を経口投与し、P 糖タンパク質活性を測定した。

得られた結果は、セントジョンズワートの単回投与(P <0.05)は、フェキソフェナジンの最大血漿濃度を45%増加させ、半減期または腎クリアランスに変化がなく、経口クリアランスを20%大幅に減少させた。セントジョンズワートの長期投与は、未治療期と比較してフェキソフェナジンの組成に有意な変化を引き起こさなかった。単回投与治療段階と比較して、長期のセントジョンズワートは、最大血漿濃度の有意な35%減少(P <0.05)とフェフェフェナジンの経口クリアランスの有意な47%の増加(P <0.05)を引き起こした。

結論として、セントジョンズワートの単回投与により、腸管 P 糖タンパク質が有意に阻害された。セントジョンズワートの長期投与により、単回投与で観察されたフェキソフェナジンの分布の変化が逆転した。

〔文献〕
Wang Z, Hamman MA, Huang SM, Lesko LJ, Hall SD. Effect of St John’s wort on the pharmacokinetics of fexofenadine. Clin Pharmacol Ther. 2002 Jun;71(6):414-20. doi: 10.1067/mcp.2002.124080. PMID: 12087344.

参考)
フェキソフェナジンは、日本では医療用医薬品として処方されていたが、2012年より第1類医薬品として、2016年より第2類医薬品へ変更となり、薬剤師だけでなく登録販売者でも販売できるようになった(2025.3現在)。いわゆる病院でもらう医薬品だけでなく、市販薬でも相互作用を考慮する必要があると考えられる。また、セントジョンズワートの単回投与、長期投与で薬物動態に変動がある恐れがある、と言及されている。特に、日本特有の花粉症の時期は、抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジンを長期にわたり服用する可能性があるので、市販薬でも安易な長期併用は避けるなど、注意が必要であると推察できる。