Fish Herb, Bishop's Weed

ドクダミ

別名 魚腥草(ぎょせいそう)
科名 ドクダミ科 ドクダミ属
近縁の西洋ハーブ なし
生薬名 ジュウヤク(十薬、重薬)(2)
薬味・薬性 辛・微寒(3)

概論

少々湿り気がある日陰の場所に白い花を咲かせて群生しているのを身近にみることができ、葉は独特の香りを持っています。江戸時代の本草書「大和本草」には、「10種類の効果を有しているから十薬」として記述があります。中医学では解毒・消腫(浮腫をとる)・清熱(身体の余分な熱をとる)・利水(水分代謝をよくする)の効果があるとされ、民間ではにきび・鼻炎・湿疹・便秘などに煎じた茶を飲用したり、生の葉が外用で使用されてきました。現在も健康茶として知名度の高い薬草の一つです。独特の香りはデカノイルアセトアルデヒドによるものですが、乾燥すると消失するため、乾燥したものには香りはありません。近年、生葉に含まれる精油成分のアルデヒド類による抗菌作用(4)(5)や、乾燥葉にも含まれるフラボノイドによる抗菌・抗炎症・利尿・毛細血管強化作用などが研究されています(6)(7)。

含有成分

  •  乾燥葉: フラボノイド(クエルシリン・イソクエルシトリン・アフゼリン・ヒペリン・ルチン)(7)
  • 生葉: フラボノイド(クエルシリン・イソクエルシトリン・アフゼリン・ヒペリン・ルチン)・デカノイルアセトアルデヒド・ラウリルアルデヒド(8)

適用 利尿・消炎・緩下を目的に便秘、慢性皮膚疾患に用いる。(2)

使用法

乾燥葉1日量10~15gを水約600mlで煎じ、食前または食間に3回に分けて服用する。(2)

安全性

2~3か月茶剤服用によるアレルギー性皮膚炎(9)、2~3年毎日1ℓの茶剤飲用による光線過敏症の報告がある。 (10)

「ドクダミ」(写真あり)

【参考文献】

  1. 岡田稔監修 『牧野和漢薬図鑑』 北竜社 2002
  2. 日本公定書協会編 『第15改正日本薬局方解説書』 廣川書店 2006
  3. 難波恒雄 『和漢薬百科図鑑Ⅱ』 保育社 1993
  4. 磯谷ら 埼玉医科大学短期大学紀要2005;16:43-46,
  5. 平賀ら 埼玉医科大学短期大学紀要2003;14:1-6,
  6. 李ら 生薬学雑誌1993;47(4):415-419,
  7. 川村ら 生薬学雑誌 1994;48(3):208-212,
  8. 布施ら 生薬学雑誌 1994;48(4):307-311,
  9. 吉岡 皮膚 1992;34:271,
  10. 高橋 皮膚病診療 1985;7:21-24,