Mugwort

ヨモギ

植物名 ヨモギ

  • 学名 Artemisia princeps 
  • 英名 Mugwort
  • 別名 カズサヨモギ モチグサ
  • 科名 キク科 ヨモギ属
  • 近縁の西洋ハーブ
    • マグワート(オウシュウヨモギ)Artemisia vulgaris
    • ワームウッド(ニガヨモギ)Artemisia absinthium
  • 分布:本州から九州、小笠原諸島、朝鮮半島に分布し、山野に普通に見られる多年草。草丈約100cm、茎はよく分枝し、全体に白い綿毛がある。枝の上部に卵形の小さな頭花をつける。花期は9~10月
  • 使用部位 全草
  • 生薬名 ガイヨウ(艾葉)
  • 薬味・薬性 苦・微温(文献2)

概論

古くから日本人が親しんだ身近な植物のひとつで、現在もヨモギ餅や草だんごとして親しまれており、日本食品成分表では野菜に分類されています。道端や空き地など乾燥してよく日が当たる場所に群生し、全草に良い香りがしますが、秋の花粉症のアレルゲンとしても知られています。もぐさは、ヨモギの葉の毛をかきとり綿状にしたもので、市場では近縁のオオヨモギA.montanaのものが多く流通しています。

学名はギリシャ神話の豊穣と多産を司る女神アルテミスを語源とし、ヨモギ属の植物は古来から世界各地で婦人科系の症状や魔よけに使用されてきました。中医学では温裏(うんり:からだの内側を温める)、止血、止痛の効果があるとされ漢方薬にも配合されています。民間では煎じた茶を腹痛、生理痛、不正出血に飲用し、生の葉を切り傷、湿疹、虫さされに外用で使用してきました。血行促進と止血の効果をもつため、近年は線溶(血液を溶かす)系、止血系への双方の効果が検討されています。さらに、精油やタンニンによる抗菌作用、抗酸化作用、抗ヒスタミン作用などが注目され、生活習慣病や外用でかゆみを抑える作用などへの応用が期待されています。

成分

  • 精油シネオール、ツヨン、カンファタニン、脂肪酸 パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、
  • 蝋質 セチルアルコール、トリコサノール、コリン、アデニン、塩化カリウム、ビタミンA、B1、B2、C
  • タンニン(ジカフェロイルキナ酸、クロロゲン酸)

適用

鎮痛、収斂、止血、腹痛、腰痛、腫れ物、下痢

使用法

乾燥葉1日量5~20gを水約600mlで煎じ、3回に分けて服用する。(文献1)

安全性

近縁種のオウシュウヨモギについては、通経・子宮収縮作用がある妊娠中の使用は不可、キク科植物過敏症の人はアレルギー反応を起こす可能性があるとされています。

【参考文献】

  1. 岡田稔監修 『牧野和漢薬図鑑』 北竜社 2002
  2. 荒木性次 『新古方薬嚢』 方術信和会 1972
  3. 日本食品標準成分表 2010 文部科学省 科学技術・学術審議会・資源調査分科会
  4. 佐橋紀男 鼻アレルギーフロンティア 2(3):42-50;2004
  5. 難波恒雄監修 『和漢薬の事典』 朝倉書店 2002
  6. 大槻真一郎『ハーブ学名語源事典』 東京堂出版 2009
  7. 鈴木洋『漢方のくすりの事典』 医歯薬出版 1994
  8. 丹羽正弘 Therapeutic Research 2(6):1076-1083;1985
  9. 益岡典芳ら 岡山理科大学紀要 42:29-33;2006
  10. 戸田静男 第24回和漢医薬学会大会 106
  11. 室井延之ら 病院薬学 20(1):10-16;1994
  12. 奥田拓男ら 薬学雑誌 106(10):894-899;1986
  13. メディカルハーブ広報センター監修『メディカルハーブ安全性ハンドブック』東京堂出版 2001
  14. 独立行政法人 国立健康・栄養研究所『「健康食品」の安全性・有効性情報』

http://hfnet.nih.go.jp/contents/indiv.html#Jw07