【スーパーフード】 Moringaモリンガ─クレオパトラも愛用していたミラクルツリー(奇跡の木)
モリンガ(MoringaoleiferaLam)
ワサビノキ属の常緑樹・落葉樹
アーユルヴェーダでは、重要なハーブのひとつ
北インド地方を原産とするワサビノキ科の植物として知られるモリンガ。古来より、インド、アフリカ、フィリピン、インドネシアなどの亜熱帯の国々においては、良薬として、さらに美容や健康維持のために幅広く使用されてきました。
種から根っこまで、すべてをさまざまな形で使用できる珍しい植物として知られるモリンガ。例えば貧しい地域ではモリンガをさやの状態で摘み、インゲン豆のように茹でて食べて重要な栄養源としたり、花は香水(アロマ)やエディブルフラワーとして使用できたり、花茶は強壮剤として飲んだり、葉は免疫力を上げるハーブティーやサプリメントとして摂取したり、高い殺菌作用のある種から作るオイルはスキンケアに使用されたり、根はリウマチの薬として、さらにカレーの材料などにスパイスとして使用されたり、幹はパルプに、樹皮はロープなどに利用されてきました。そんな各パーツに高い薬効性や利用価値があることから、世界中でミラクルツリー(奇跡の木)、メディスンボックスツリー(薬箱の木)、ツリーフォーライフ(生命の木)など、さまざまな呼び方で親しまれ、日本でも沖縄・九州など、温暖な地域で栽培され親しまれてきました。
近年はモリンガが約90種類以上の栄養素をハイスコアで含むことがわかり、スーパーフードとして広まり、食べるサプリメントとして人気が高まっています。古来よりアーユルヴェーダではヴァータとカパのバランスをとり、約300ものさまざまな症状を予防するとされてきました。
旧約聖書では浄化の木として登場!?
とにかく成長が早く、通常の植物の約20倍もCO2を吸収することで知られるモリンガは、環境を守る植物としても注目を集め、近年はモリンガ植林による環境保護活動が行われたりと、世界的な環境保全にも期待されています。
ちなみに旧約聖書の中では、“モーゼが神に命じられて、一本の木を汚れた水の中に入れると水が甘くなり、飲めるようになった”という話があり、この水をキレイにした木こそモリンガの木ではないか?といわれています。実際に発展途上国などのキレイな水が手に入らない場所では、モリンガの種で浄水が行われ、ペンシルバニア州立大学の研究ではモリンガに含まれるプロテインが汚れた水中のバクテリアを駆除して沈殿させることを発見し、アメリカではそのメカニズムを利用したモリンガの浄水器も発明されたそうです。
クレオパトラも愛用
カリウムはバナナの5倍、タンパク質はヨーグルトの9倍、鉄分はほうれんそうの28倍、ビタミンAは人参の10倍、カルシウムは牛乳の16倍、ポリフェノールは赤ワインの約8倍、ビタミンEは卵の96倍、食物繊維はゴボウの5倍など、人間に必要な栄養素がほぼすべてバランスよく含まれているとされるのがモリンガです。
植物の中でもとても高い抗菌作用があるせいか、モリンガの木には虫が寄りつかないとされています。そんなモリンガの抗菌作用を利用したかぜやインフルエンザ予防として、モリンガ茶でうがいするのもオススメですし、消臭作用もあるため、同時に口臭予防にもなります。もちろん毎日モリンガを体内に摂取することも重要です。
Recipe:モリンガのチョコチップアイスクリーム
材料(1人分)
- ココナッツミルク 1缶(400mL)
- カシューナッツ 1カップ
- アガベシロップ 大さじ3
- 塩小さじ 1/4
- メープルシロップ 小さじ1
- ミントエクストラクト 小さじ1
- モリンガ 小さじ1~2
- スピルリナ 小さじ1/3
(トッピング) - カカオニブまたは刻んだ板チョコ
[作り方]
- カシューナッツは4時間以上浸水しておく。
- トッピング以外のすべての材料をブレンダーに入れ、よく混ぜ合わせる。
- 2とトッピングをアイスクリームメーカーに入れて容器に移し、冷凍保存する。
*アイスクリームメーカーがない場合は、❷とトッピングを合わせて容器に移して冷凍保存し、2時間ごとに取り出し、全体に空気を入れるようにスプーンでかき混ぜる。これを2~3回繰り返す。
簡単な使い方
抹茶やヨモギに近い味なので、日本人には親しみやすいのが特徴です。お茶としてお湯出し&水出しで入れたり、スープ、ドレッシング、スムージー、ヨーグルトにプラスしたり、ジェノベーゼなどのパスタソースに加えたり、和菓子作りにヨモギや抹茶の代用として使用したり、料理やデザートのスパイスとして幅広く使用できます。抗酸化作用を重視したいときは、できれば加熱しない調理法、または長時間加熱しない調理法で摂取するのが好ましいです。低温で調理するローフードのメニューであれば、モリンガの栄養価を最大限に摂取できます。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第42号 2017年12月