【海外ハーブツアー報告】 1〜2日目は最初の目的地カウアイ島
カウアイ島はハワイ諸島最北端に位置し、ハワイ主要8島の中で最も古い島で、中央にそびえるワイアレアレ山に太平洋上からの貿易風がぶつかるため山頂付近は年中雲に覆われ、年間12,000mmもの雨が降り注ぎます。
雨水による浸食作用によりナ・パリ・コーストやワイメア渓谷といった独特の景観がつくり出され、また、この豊富な雨が豊かな植物を育んでいるため「ガーデンアイランド」と呼ばれています。
羽田から約10時間でカウアイ島リフェ空港に到着。ここから専用バスに乗り込み出発。
「アラートン・ガーデン」ツアーへ
景勝地「潮吹き岩」を望む展望台の駐車場でアラートン・ガーデンの車に乗り換え、ガイドのフミさんの案内でガーデンツアーに。
このアラートン・ガーデンはナショナル・トロピカル・ボタニカル・ガーデンのひとつで、約40万m2もの広大で美しい庭園が個人基金による非営利団体により管理運営されていることには驚きます。
ここは、絶滅の危機に瀕している植物やハワイ固有種の保護と研究、そのほかにも数の少ない品種の育成など、さまざまな事業も行っています。
アラートン・ガーデンは古代ハワイアンの居住地であり、カメハメハ4世の妻エマのサマーコテージだった土地を銀行家の子息で、造園を学んだロバート・アラートンが購入し、後に養子としたジョン・グレッグと2人で、植物の特徴を生かし、噴水やガゼボをつくり、彼らが世界中を旅行して集めた調度品を配して、それぞれの空間を異なるテーマをもった区画(ガーデンルーム)として整備していきました。
初めに出迎えてくれるのが「サンクスギビングルーム」と呼ばれる背の高い木に囲まれ、小さな池には2人の天使像、奥には白いガゼボが佇む部屋です。
ダイアナ・ファウンテンはプールに白いパビリオンと女神ダイアナの像が映り込むように設計されており、とても優雅な部屋です。
スリー・プールズでは3連の池を水が優しく流れ、両側を緑の壁に囲まれた部屋に2本の道が入り込み、また2本に分かれ、それぞれ次の部屋に続いていきます。
続くマーメイド・ファウンテンでは、一対の向き合う人魚の間を水がゆったりと波打ち流れています。
ここの垣根にはヤシの木が植えられており、ヤシの葉の形が、人魚のしっぽと似ているからだそうです。この人魚をなでると再び来られるとか?でお尻がツルツルに光っていました。
そして、映画『ジュラシック・パーク』に登場することで有名な、イチジクの仲間のモートンベイフィグツリー(和名はオーストラリアゴムノキ)。
とても巨大な根をもち、まるで太古から生えているようですが、実は1940年代に植えられたそう。
また、最近ではパイレーツ・オブ・カリビアンの撮影がこのアラートン・ガーデンで行われたそうです。
部屋の最後はバンブー・ガーデン。たくさんの竹を背に石仏が置かれ、日本の古都にでも居るようです。
ここまでは植物園というより庭園、美術館といった趣でしたが、これらの部屋を抜けるとラワイストリーム(小川)が流れている場所に出ます。
ここは古代ハワイアンにとって理想的な生活圏であるアフプアアで、今もなお昔の姿を残している貴重な場所です。
ここから、ハワイ固有種やノニ、タロ、パンの木、ククイナッツ、サトウキビ、シャンプージンジャーなどのカヌープランツの説明や、クイーン・エマが植えたラウアエファーン、カマニ、パンダナスやブーゲンビリアなどが今でも育っていること、引き裂かれた恋人同士が海と山でそれぞれビーチナウパカとマウンテンナウパカに姿を変えたため、ナウパカは花びらが半分しかないような不思議な形をしているという伝説などを聞きながら歩いて行くと目の前に美しいラワイカイビーチが広がりました。
ガーデンツアーを終えて、ホテル「コートヤード・バイ・マリオット・カウアイ・アット・ココナッツビーチ」に。
海に面したプールにはトーチが灯り、リゾート気分満点。
ディナーはハワイの名物アヒポケをおしゃれにアレンジしたメインに、バナナケーキのデザート。このハーブツアーは一人参加も多く、初対面の方がほとんどですが、そこはハーブや花を愛する人たち、すぐに打ち解けて会話も弾み楽しいディナータイムとなりました。
ところで、島のいたるところニワトリがいます。ガイドのトヨコさんに伺うと、1992年のハリケーンで鶏舎が倒壊し逃げ出して野生化したそうです。
2日目は「リマフリガーデン」のセルフツアー
2日目はカウアイ島北部へ。道路が狭いため、マイクロバス2台に分乗し、途中、車窓からタロイモ畑を眺め、ケエビーチへ。
残念ながら泳ぐ時間はありませんでしたが、裸足になって、ハワイの海と砂浜の感触を楽しみました。
ここからリマフリガーデンへ。
入り口で日本語ガイドブックを受け取り、セルフツアーで回ります。
こちらもナショナル・トロピカル・ボタニカル・ガーデンで4km2とアラートン・ガーデンより狭いですが、リマフリ渓谷の地形を生かし、約250種の植物と鳥たちが自然のままに生息しています。
詳しいガイドブックを見ながら進むことで、カヌーガーデン、プランテーションガーデン、ハワイ固有種のガーデンと、ハワイの歴史・文化を知ることができるつくりになっています。
ここにも段々畑のようなタロイモ畑やキー(ティー)、バナナやシャンプージンジャー、ククイなどのカヌープランツ、野球バットの上にキャベツが載ったような不思議な形のアルラ、ハラ(タコノキ)などの固有種を見ることができました。
窓から海を眺める気持ちのいいレストランMediterranean Gourmetでランチの後、キラウエア灯台を回り空港へ。名残を惜しみながらカウアイ島を後にしてオアフ島に向かいました。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第42号 2017年12月