2017.12.1
『チベット伝統医学の薬材研究』
『チベット伝統医学の薬材研究』བོད་ཀྱི་གསོ་བ་རིག་པའི་སྨན་རྫས་ཞིབ་འཇུག་
- 石濱裕美子、西脇正人、福田洋一、谷田伸治編著
- 発行:藝華書院
- A4判横変型2分冊函入
- 上製192ページ、並製52ページ)
- ISBN:978-4-904706-10-7
- 価格:16,200円(税込)
【内容】
チベット医学は、チベット人の居住域だけではなく、チベット仏教の伝播したモンゴル人、ブータン人、ロシアのブリヤート人・カルムキア人などの住む広大な地域において、臨床で用いられ、研究されてきた伝統医学である。チベット医学はインドのアーユルヴェーダ医学の三ドーシャ説を柱にしているものの、三ドーシャを三大煩悩と関係づけるなど仏教思想と融合させており、チベット高原の豊かな動・植物相はインド・中国両医学に薬材を提供していることなどから、独自の医学として研究されるべきものである。
本書はチベット医学で用いる薬材に焦点をあて、チベット医学のバイブル『四部医典』(རྒྱུད་བཞི་ ギューシ)中の、薬材の分類、薬材個々の効能などについて扱う章を和訳し、そこに名前のあがった薬草・薬木・薬石などを抽出し、それが現実にどのような動植物に対応するかを、インド、中国で出版された14冊のチベット薬材辞典にあがった学名を対照させて示している。
【本書の概略】
- 第一章:チベット医学のバイブル『四部医典』の理念と先行研究
- 第二章:『四部医典』の中から薬材の種別と効能を述べる箇所(第二部19 章から21 章)を和訳
- 第三章:寺本婉雅が1898 年に入手し日本にもたらしたチベット医学図譜の稀覯本を初出版。本図譜はチベットの医学堂で、医学生に薬材の色や形、採集地を教授するために用いられていた。
- 第四章:伝統的なチベット語の薬材名の下に、臨床ではどのような動植物・鉱物が用いられているのかを、チベット語の薬材名と14 冊の先行研究から抜き出した学名の対照表によって明らかにした。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第42号 2017年12月