記念インタビューを振り返って植物の力、メディカルハーブ
今だからできること、初心に戻ってみるところをテーマに、過去の記事をこんな時だからこそ楽しく懐かしく掲載していきます。そしていつの時代も人類と共にあったメディカルハーブと共生するために。
今回は『MEDICAL HERB』創刊10年を記念して行われた記念インタビューを振り返ります。
──鍼灸師である安本さんは、どのようなきっかけからメディカルハーブの勉強を始められたのでしょうか。
安本(敬称略、以下同):
鍼灸は体の外側(ツボ)から、漢方は内側(服薬)から自然治癒力を引き出す治療で、併用すると相乗効果があるとされています。漢方を勉強する機会があり、そのとき植物の薬効のすばらしさに感激し魅了されました。そこで鍼灸師として、植物療法/メディカルハーブを漢方薬的なものとして活かすことができないかと思い、勉強を始めたのです。
──ハーバルセラピスト資格取得のための勉強については、いかがでしたか。
安本:
講師の先生の丁寧なご指導に加え、漢方薬とは違ったハーブの学び方や利用方法にとても魅力を感じました。ハーブについて広く深く、また解剖学・生理学・医学などはより詳しく掘り下げた内容で、ハーブ・アロマを扱う基本を学ぶことができました。
──現在、資格をどのように活用していますか?
安本:
鍼灸院の横にはハーブガーデンがあります。治療後にハーブティーを飲みながら、ハーブの育て方や活用方法についてお話しすることもあります。最近、「アロマ灸」という香りエッセンスが入ったお灸があり、ハーブやアロマに興味のある患者様も多いので、ハーブティーとのセルフケアコラボ!?も好評です。そもそも、お灸の原料はヨモギ。日々の治療でも効果を実感、あらためて植物の力に感心しています。
また、地域の小学校内にある子育て支援広場の中庭の管理をさせていただいています。ハーブを中心にした花壇にし、花や香り、虫や鳥を見て楽しむだけでなく、収穫したハーブをリースにしてお部屋に飾ったり、おいしく利用していただいたりしています。
──これからやってみたいことはありますか。
安本:
鍼灸師として治療すること、それは「手当て」だと思っています。身体に現れた症状に対して、体表にあるツボを刺激して治療します。症状は急に出ることもありますが、ほとんどは少しずつSOSが出ていると思います。ちょっとした不調、自分の心と身体の声や変化に気がついてあげること、そんなタイミングで身近に取り入れられるセルフケアとしてのメディカルハーブを「手当て」のパートナーとして、より知識を深めアドバイスしていけたらと思っています。
また、近所の無農薬でたくさんのハーブを育てている農家さんが作るドライハーブ、農家さんと知恵を出し合い、おいしいブレンドのハーブティーを考えようと計画中です。
──本誌『MEDICAL HERB』は創刊10年になります。これまでの会報誌をご覧いただいての感想などをお聞かせいただけますでしょうか。
安本:
会報誌には、植物の効能・安全性・そして臨床効果・エビデンスについてなど専門的な情報が多く、知識を深める上でとても役に立っています。また、小冊子『HERB&LIFE』も毎回、生活にハーブを取り入れたくなるような内容で楽しみにしています。
──最後に、協会の今後の活動についてご意見・ご要望をお聞かせいただけますでしょうか。
安本:
セミナーや薬用植物園の見学などに参加させていただきました。資格取得後のスキルアップの機会も充実しており、よかったです。今後も継続していただきますようお願いいたします。
初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第42号 2017年12月