新しい植物の分類体系APG(被子植物系統研究グループ)分類について教えてください
Q:
分類体系が、新エングラー体系からAPGに変化したのはなぜですか。
A:
1735年、スウェーデンのリンネ(Carl Linnaeus)は、当時知られていた植物を雄しべの数を目印として数とつき方が異なる24のグループに分類しました。リンネはグループ化する最少の単位を[種]とし[二名法]を確立し、今日でも生物の分類上の種の識別にはこの考え方が継承されています。
フランス革命の1789年ころ、フランスのドゥ・ジュシュー(A.L.de Jussieu)らは、かたち(形態)がよく似ている種を同じグループとしてまとめる[自然分類法]を提唱し、以後これが植物分類法の主流になりました。
1859年ダーウィン(Charles Robert Darwin)の『種の起源』で進化論が示されました。生物にふさわしい分類法は進化の道筋(これを[系統]という)を反映したものであるべきという[系統分類法]が目標となり、形態と系統で分類するエングラー(H.G.A.Engler)の分類体系がドイツや日本など世界各地で使われました。
近年DNA塩基配列に基づく系統解析の技術が高まり、これまでの分類とは異なる系統関係があらゆる生物種で示されるようになりました。植物においても細胞の核や葉緑体に存在する遺伝情報(DNA)の分析が可能になり、植物の系統解析の研究は急速に進展しています。
リンネが『自然の体系』を著した時から280年を経て、分類される植物も25万種を超えました。また、地域固有性も高いために国際協力が必要となり体制づくりがすすめられました。これはAPG(Angiosperm Phylogeny Group被子植物系統研究グループ)と称し、多数の植物学者による植物の分類体系が1998年に発表されました。その後情報量の増加により、不明確だった分類群を明確にしつつAPGII(2003年)、APGIII(2009年)が発表されました。
以上より今日ではAPG分類が広く受け入れられています。