2016.6.30
脂溶性である精油成分は血中でどのような形で存在しますか
A:
血液中に入った薬の分子はタンパク質と結合しますが、それが一部の分子のこともあれば、ほぼすべての分子が結合することもあります。
血液中の精油成分の存在の仕方は、血液中での薬とタンパク質との結合ほどよく知られていませんが、たとえば次のような in vitro (試験管内) での実験の報告がされています。ヒト血清 1 mL に 5ng~230μg のベルガプテンを入れた場合、その 98~99% が血 清中のタンパク質と結合しました。また、20mg / mL 濃度の d-リモネンがラットの血漿中のタンパク質と 55.3% 結合しました。
このように、薬と同様に精油成分も、すべてがタンパク質と結合するのではなく、結合しないで血液中に存在するものもあると考えられます。
参考
- メルクマニュアル医学百科 家庭版 http://merckmanuals.jp/home/index.html
- 『Second edition ESSENTIAL OIL SAFETY』52 頁 Robert Tisserand , Rodney Young 著 Churchill Livingstone
- Artuc M, Stuettgen G, Schalla W, Schaefer H, Gazith J, Reversible binding of 5-and 8-methoxypsoralen to human serum proteins(albumin) and to epidermis in vitro. British Journal of Dermatology 1979;101:669-677
- Chen H, Chan KK, Budd T, Pharmacokinetics of d-limonene in the rat by GC-MS assay. Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis 1998;17:631-640