2018.6.1

快適な睡眠をつくる習慣

いりたに内科クリニック理事長・院長

監修=入谷栄一

寝つきが悪い、寝てもスッキリ起きられない……。
それは何気なく行っている生活習慣が原因かもしれません。
ちょっとした心がけで眠りの質がぐっと高くなる、快眠快眠のためのヒントをご紹介します。

Sleep Habits 01.

規則正しい食事で体内時計を整える

光の刺激と同様、朝食は、体内時計のズレをリセットするのに有効。朝食を摂ることで、眠りから活動へと体のリズムがシフトされ、気持ちよく1日のスタートを切ることができます。朝食を抜いて、昼、夜の食事時間が乱れると、体内時計の乱れにもつながります。規則正しい時間帯に3食を摂ることを意識しましょう。また就寝時に胃腸が活発に動いていると眠りが浅くなります。夕食は寝る3時間前に済ませることを心がけて。

Sleep Habits 02.

適度な運動を習慣に

日中の運動は適度な疲労をもたらし、深い眠りを導きます。ウォーキングやジョギングなどの軽い運動を毎日の日課に取り入れるのもおすすめです。運動の時間がとれないという人は、エレベーターの代わりに階段を利用する、できるだけ車を使わず歩いてみるなど、普段の生活の中で、運動量を増やす工夫を意識して。ただし、寝る前の激しい運動は、交感神経を刺激して、眠りを妨げる原因となるので控えましょう。

Sleep Habits 03.

夜は深部体温を意識する

体の内部の温度である「深部体温」は、睡眠と密接にかかわっています。私たちの体は、日中上昇した深部体温が夜に下がることで、眠りにつくことができます。深部体温を上手に下げるには、就寝前に一旦体を温めておくことが重要。中でも有効なのが、夜の入浴です。ぬるめと感じる湯温で適度な時間、ゆったりとお風呂に浸かりましょう。血行がよくなり皮膚表面から熱が放出され、深部体温が下がりやすくなります。この働きに伴い、体は休息状態となり眠気が自然と訪れます。

Sleep Habits 04.

寝る前には自分なりのリラックス方法を

心地よい睡眠のためにも、就寝前はリラックスして過ごしましょう。読書や音楽を聴いたり、ハーブティーを飲んだりして心を落ち着かせるのもよいでしょう。また、筋肉の緊張を和らげ副交感神経を優位にするストレッチやヨガなどの柔軟体操もおすすめです。反対に、寝る直前までスマートフォンなどの明るい画面を見ていると眠りのホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、寝つきの悪さにつながるので注意しましょう。

Sleep Habits 05.

夜の喫煙&カフェイン摂取に注意して

適度なお酒は、アルコールの血行促進作用で眠りを誘いますが、過度の飲酒は要注意。眠りが浅くなったり、途中で目が覚めたりと睡眠の質が低下する原因に。また、夜のタバコや覚醒作用のあるカフェインも寝つきを悪くします。夜はコーヒーや紅茶、緑茶などカフェインを含む飲み物は控えましょう。タバコに含まれるニコチンの覚醒作用は1時間程度続く<fn>厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」参照</fn>ため、喫煙は就寝1時間前から控えることを心がけて。

初出:特定非営利活動法人日本メディカルハーブ協会会報誌『 MEDICAL HERB』第44号 2018年6月