セントジョンズワートは、多くの医薬品との相互作用の研究報告があり、その多くは薬物代謝酵素であるCYP1A2やCYP3A4、薬物排出輸送担体であるP糖タンパク質を増加させ、医薬品の作用を減弱させる作用がある。今回紹介する論文は、抗ヒスタミン薬であるフェキソフェナジンとの相互作用を検討した研究報告である。
アーティチョーク(キク科 Cynara scolymus)は、古くから消化促進や肝機能向上に役立つとされ、近年ではその健康効果が科学的に研究されている。肝機能を改善するシナリン、血管拡張や抗酸化作用を持つクロロゲン酸、血流改善と抗炎症作用をもたらすフラボノイド等を含み、肝機能の向上や血圧調整への有用性が注目されている。本記事では、2022年に発表された2つの系統的レビューとメタアナリシスを基に、アーティチョークの効果を紹介する。
睡眠補助や催眠としてのラベンダー(シソ科 Lavandula angustifolia)の活用は,古代ローマ人やギリシア人にまでさかのぼることができる。しかし,ラベンダーが睡眠時間や睡眠の質を高めるかどうか,また,どのように高めるかについての客観的な実験データはまだ不足しているといえるだろう。
メディカルハーブと医薬品の相互作用はまだ研究過程で、エビデンスのある研究報告を検索することは難しいのが現状である。その中でも、イチョウ葉(イチョウ科 Ginkgo biloba)は使用頻度が高いにもかかわらず、臨床研究の一次情報が少ないと考えられる。今回は、イチョウ葉と、抗不整脈薬でありP糖タンパク質基質である医薬品成分talinolol (タリノロール)との相互作用を検討した研究報告を紹介する。
イブニングプリムローズ(アカバナ科 Oenothera biennis)の種子から抽出されるイブニングプリムローズオイル(EPO)は、リノール酸とγ-リノレン酸(GLA)を豊富に含む。GLAは抗炎症物質であるプロスタグランジンE1(PGE1)の前駆体として機能し、アラキドン酸(AA)の代謝を阻害して炎症性メディエーター(IL-1β、IL-6、TNF-α)を低下させる。その優れた抗炎症作用が注目され、これまで多くの炎症性疾患に対するEPOの効果を評価する臨床試験が行われている。
セントジョンズワート(オトギリソウ科(Hypericum perforatum)とザクロ(ミソハギ科(Punica granatum)はどちらも傷を癒すとして活用され、伝承されてきた。そしてウコン(ショウガ科 Curcuma longa)の成分クルクミンは抗炎症作用を持ち、大いに活用されているハーブである。
抗酸化作用、神経保護作用、血管保護作用、および血流促進作用を持つイチョウ葉エキスは、メディカルハーブの中でも20世紀半ばから多くの研究や40件以上の臨床試験が行われており、軽度認知障害やアルツハイマー病における有用性が明らかにはなっているが、初期の試験においては認知機能障害に対する用語や診断基準が、現代で使用されているものとは異なるため解釈が難しい。
2型糖尿病とうつ病は双方向的に影響する。抗うつ薬や抗精神病薬は糖代謝に影響を与えるものもあり、糖尿病における抗うつ薬の選択や糖尿病治療薬と抗うつ薬との併用が難しい場合がある。現在、海外では慢性疾患の管理に補完代替療法が広く使用されており、各疾患の分野において標準治療と副作用が少ない補完代替療法との組み合わせに関して多くの研究が行われている。糖尿病管理においても、糖尿病治療と安全に併用できる副作用の少ないメディカルハーブの活用が補完代替療法として期待されている。
植物アダプトゲンについては、その適応的ストレス応答および長寿シグナル伝達経路のメディエーターに及ぼす影響が報告されているが、そのストレスからの保護機構はまだ完全には理解されていないとし、作用の要因となる分子機構を特定することを目的に、システムバイオロジーという観点からアプローチしている。
変形性関節症(OA)は、生活の質に影響を与える最も一般的な変性性関節障害の一つだ。 薬物療法以外の補完代替療法の一つとして、抗酸化作用と抗炎症作用を持つフランキンセンスが欧米で利用され、経口摂取が、OAにおける痛みの軽減、関節軟骨の破壊の改善、患者の機能の改善、および歩行距離や階段の昇降能力の向上などで有効性を示しており、また、いくつかのin-vivoおよび臨床研究においては、その効果が標準治療よりも有効であることが示されている。
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