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古代の人類は、野生の動植物を狩猟、採集や漁労を通じて食料を得る狩猟採集社会の民であった。得た食料には腐敗したものや有毒物質を含むものがあったり、寄生虫・微生物など病原体による食中毒・病気を引き起こしたり、これらにより時に死に至ることもあった。人類は、さまざまな病気や痛み、傷きずなどの治療に役立つものを、植物など自然界から経験的に見つけ出し、利用してきた。
植物の生き方は知恵と工夫に満ちており、動物の五感のような能力をも持っている。熱い真夏の盛りには、葉にある気孔から体重の何倍にもなる水分を蒸散するが、その量は暑くなるとどんどん増える。動物でいう汗をかくことで暑さをしのいでいる。糸状菌、細菌、ウイルス、昆虫による侵入や食害に対しては種々の抵抗反応を誘導する物質である代謝産物を生産する。ヒトはその生命維持のために、植物に存在する有用物質の代謝産物を利用している。
本オンラインアカデミーでは、植物の持つ有用物質を取り出す方法の一つである蒸留について概観する。